奇妙な日常


 二度寝を止めてかなり遅めの朝御飯を食べた私は冷たい麦茶を飲みながら今日は何をしようか考える。

 日記は夜の方がよく書けるし、お絵描きする気分でもない。

 弟が居ればテト●スやぷ●ぷよやス●ブラ等、遊び様はあるが今家に居るのはお婆ちゃんと私の二人だけだ。

 お婆ちゃんと一緒にゲームをプレイしようか一瞬考えたが、お年寄りがするにはプ●ステのコントローラーのボタンは余りにも多すぎる。あと今はテレビ水戸黄門に夢中でどちらにしろ遊べない。



ピンポーン


 インターホンが鳴った。

 玄関モニターをチラ見して知り合いなら出ようと考える。子供の頃の私はそこそこ見知りで卑怯だった。

 玄関モニターに写っていたのは鼻の穴のドアップだった。こんな事をするのは一人しか居ない為、私はおばあちゃんに「ぼくが出る」と一言伝えると玄関のドアを開けた。


「生きてたか!」


「生きてたよ…」


ドアの外に居たのはクラスメイトで親友でもある『夕癒ゆうゆ』だった。


「そりゃ良かった!どうせマサヒロは夏休みでも食っちゃ寝食っちゃ寝してると思ってさ!公園の皆でケイドロやる約束してんだ!一緒にいこうぜ!」


男の子にしては長めの髪を後ろで結び、真っ黒に日焼けをした活発そうな少年ユウユは時々こうして私を遊びに誘ってくれていた。

当時の私が本気で嫌がらない絶妙な頻度で、半ば無理やりに。


「ねたい…あつい…」


「そんな寝てばっかりだと豚になっちまうぞ!ほら!帽子かぶって!サンダルじゃなくて靴をはいて!」


ユウユは私の文句を聞き流し、まるで母親のように世話を焼いてきた。

彼のお陰で当時引きこもりだった私は豚にならずに済んでいた。


「自分でできるよー…」


「これでよし!マサヒロのばあちゃん行ってきまーす!」


「はいよぉ、きぃつけてねぇ」


然り気無く戸締まりをお婆ちゃんにお願いしたユウユと私は近くの公園へ向かった。

公園の真ん中には枝で公園の殆どを覆うほどの大きな木があり、木陰のお陰で公園は道路の近くに比べたら涼しかった。


ああ…ここに布団を敷いて寝たら気持ちいいだろうなぁ。

などと考えていたが公園にはケイドロをしに来た訳で…。


「これで8人集まったな!まずグッパーで別れた後、チームのリーダーを決めてくれ!」


一番背の高い6年生らしき少年が段取りを教えてくれた。言われた通りにチーム分けをした後リーダーを決める、私のチームはユウユがリーダーだ。


「リーダーが決まったらリーダー同士でじゃんけんをしよう、勝った方が警察、負けた方が泥棒だ」


当時運動が苦手だった私は逃げるのも得意ではなかった。そのせいでケイドロではカモにされる為、私としては警察の方をやりたかった。

警察なら足が遅くてもバカにはされないし、何より追いかけるふりをして休めるからだ。


頼むぞユウユ、私のために勝ってくれ。


私の願いは届かず、普通に負けた。


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CatWalk-夏休みの夢日記- 宇宙犬hiro @utuuken

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