第25話 予想外

店:「あのさ、すごい楽しいからもう1泊しない?」


唐突な提案、この人はいつもそうだ。

正直、誰もが耳を疑った、と思う。

が、次の瞬間

彼:「いいね!」

意外なところから賛同が。


店:「ほら、男性陣、どうよどうよ?」

店彼:「僕は構わないよ」

僕:「僕は。。。明日の朝一回職場に電話するわ」

お風呂から上がってテンションがおかしくなっている彼女を尻目に、

やけに冷静(たぶん)な僕。

とは言え、さっきまで一緒にお風呂に入っていた、という事実だけは拭えない。

冷静を装いながら、頭の中はフワフワしていた。

もしかしてこの後。。。なんてことを想像したり。


店:「ノリが悪いぞ~?もう電話しちゃうからね!」

またもやパワープレイにより、もう1泊が決まった。


僕:「もうしゃあないか」

彼:「いいじゃん、こういう機会だし」

僕:「いや、君は大丈夫なん?」

彼:「私は。。。うん、大丈夫」

僕:「それならよかった。そこが一番心配だよ」

彼:「なによもう。。。ありがとう」


感謝されるほどの事を言ったつもりもないのだが、

君はよく「ありがとう」という言葉を発していた。

今までどれだけ好奇の目で見られていたのか。

それはそうだ、そうなのだけれど、そうじゃなくて。


僕は、ありのままに笑ったり泣いたり怒ったりする、

当たり前に存在している君が好きだった。

「アイドルと付き合えた」という優越感があったのは否定しない。

でも、やはりそれよりも一人の女性として君を好きだったし、

言い方は変かもしれないけど、普通のカップルとして、

ずっと君のそばにいたかった。

それだけが僕の願いだったのにね。

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君と見た景色 津島椰子子 @tsushimayashiko

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