第24話 旅行、深夜

彼:「良いって言うまで見ないでね。。。」

僕:「あい」

いつもの夜のテンションならば、こんな雰囲気にはならなかっただろう。


‐数分前‐

店・店彼:「二人で入るんじゃないの?」

彼:「え?あ。。。どうする?」

僕:「せ、折角だし、僕は一緒がいいな」


そんな流れで半ば強引に、僕らは二人で露天風呂に入ることになった。

正直願っていたことではあったけれど、いざその状況になると中々こっぱずかしいものである。こんな事、願うんじゃなかったか。


彼:「。。。いいよ」

振り返る僕、が。。。

僕:「。。。着てるやん」

そりゃそうか。彼女は浴衣を着たままだった。

僕:「ちょい待ち、それならわざわざ。。。あ」

彼:「下着は。。。濡らしたくないから」

僕:「あ、な、なるほどね」


そう言って僕も彼女と同じようにした。

早い時間に入浴を済ませておいてよかったね、と。


僕:「うーん。。。湯加減どう?」

彼:「なんか。。。変な気分」

そりゃそうだ。浴衣を着たまま入浴など言語道断。

せめてバスタオルくらいなもんだろう。


彼:「ごめん、まだ恥ずかしくて」

付き合ってまだ1か月だし。

上手くリードして、なんて考えてたけど、まだいいか。


僕:「今は一緒にいられるだけで幸せだと思えるし」

彼:「うん。。。ありがとう」

僕:「まぁ正直、こんな状況ですらドキドキしてる」

彼:「それは私も同じだよ」

僕:「あのさ。。。」

彼女も同じ気持ち。それがたまらなく嬉しい。

彼女の背にそっと手を伸ばし、抱きしめる。

僕:「そのうちね、色々慣れていこう。一緒に。」

彼:「そうだね、一緒に。。。」

応えるように抱きしめ返す彼女。今はこれだけでも十分だ。


彼:「あの。。。」

僕:「ん?」

彼:「あ、それ、その反応するときの声、すごく好き」

僕:「もの好きだな(笑)」

彼:「前も言われてたじゃん。イケボだって」

僕:「んー、そう?言われて嫌な気はしないけど」

彼:「あ、あの、それでね。」

僕:「あ、うん」


彼女が急に黙り込んだ。少し手が震えているようだ。

さすがに鈍感な僕でも察することはできた。


抱きしめる力を緩め、彼女と向かい合う。

僕・彼:「。。。」

どちらからともなく、不自然なくらい自然に、口づけを交わした。


彼:「えへへ」

僕:「なんだよ」

彼:「しちゃったね」

僕:「そうだね」


照れてる彼女がたまらなく愛おしくなって、再び唇を奪う。


彼:「ちょ、え。。。ふぁ」

僕:「ごめん、ついしたくなっちゃって」

彼:「急にはズルいぞ」


そう言って今度は彼女からお返しのキス。


彼:「おあいこね」

僕:「ちょい待ち。これ、永遠に止まらないぞ」

彼:「流石にのぼせるから。。。」


再度口づけをする。今度は長く触れ合う。


彼:「もう。。。」

僕:「ふふ。。。」


温泉の熱とは明らかに違う形で火照りきった二人であった。

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