整数魔法の魔法学

魔法は乗算である。

世界に広く知れ渡るこの言葉は、魔法が二つの元素の相乗効果によって顕現する事を意味している。十に十をかければ百で、百に百かければ一万。母体の数が大きければ大きいほど、威力や効力は一気に膨れ上がる。
当然、そんな世界の法則に則れば、一人前の魔法使いになる上では二つの元素の存在は必要不可欠と言えるが、もし、仮に、片方の元素を全く使えぬ者がいればそれはどうなるのだろうか・・・？

魔法は乗算でもなければ加算でもない。ただの整数である。
その言葉を信条に、魔法使いになることをあきらめきれなかった男が魔法学校の門を叩いた。