少女と少年、二人の視点から展開するので、それぞれの気持ちが伝わってしまい、それが余計に胸が苦しくなるようでした。読後の余韻が、不思議な感じです。このままではいけない、このままでいてほしい、そんな感情に、掻き回されるかのようでした。印象的な夕日の描写が、より一層、美しく悲しく、物語を彩っています。
図書館に暮らしてる、なんて嘘だと二人ともわかっているけれど。相手のことを思う、というのが果たしてどんな行動に繋がるのか、考えさせられます。少年少女の図書館での出会い。ティーンエイジャーのほろ苦い青春。夕焼けの空がやけに眩しかったり、そんな日々を繰り返していくことが幸せであり、不幸せであり。彼の優しい嘘は、彼女の救いとなっているのか。笑いかけるたびに複雑な思いが去来します。