生徒会長

 生徒会に続いて違和感を覚えることが多かったのは、生徒会長の資質だ。

 生徒会長は特殊な才能に恵まれた人物という設定をよく目にするが、現実の生徒会長はこれも生徒会以上に地味な立場だと思う。

 小説に登場する生徒会長のなかには、たとえば成績優秀で全教科全科目学年トップであったり、そこまででなくとも何らかの傑出した才能を具えていたり、あるいはファンクラブみたいな取り巻きがいたり、大富豪の子であったりと、特別な設定を付与されている人物が少なからずいる。

 実際、そういう特殊な才能や人脈を持った人物が生徒会長になることはありうる訳で、その作品の学校ではそうだったと言われれば、何も不自然な話ではない。おかしなところは何もないのだが、現実には生徒の能力は正規分布に近い曲線を描いて分布することがほとんどであり、そういう傑出した人材がいる学校というのは、非常に稀だろう。人脈については、たとえば皇族の通う学習院、その他資産家や旧華族家などが通う学校はあるから、そういうこともあるかもしれないが。

 そして生徒会長、立場上もそこまで特殊な能力を必要とする役割ではなく、(もし必要だったならば、生徒会長は幾世代も該当者なしで空席とせざるを得なくなるだろう)向き不向きはあるにせよ一応は誰にでもできるような役割となっている。会長に選出されたからといって特に一目置かれる訳でもなく、せいぜい大学入試の調査書の内容が少し良くなるかどうか。

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学園小説私考 如水軒 / 一姫 二太郎 @josuiken

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