ハロウィンの彼女
抹茶
お菓子orイタズラ
ハロウィンと聞けば、世間一般の人々は騒ぎ出す。都内の道端ど踊り始めたり、意味も無く歩き回ったりしている。
どうしてだろう?なんて考えても答えは一つに決まっている。
――それがハロウィンであり、僕達が祭り好きだからだ。
「どーんっ」
「・・・こんばんは、ですね」
「むぅ~!反応が薄いよっ!」
頬を膨らませて、腰に手を当てて僕を睨む。きっと、「私、怒ってますよ!」なんて言いたいのだろうけど。
僕と何年一緒に居たと思ってるんだ。
「可愛いですよ」
「っ!~~~~」
ぴくっ!と反応したかと思うと、沸騰したように顔を赤く染めていった。まったく、昔から彼女は可愛らしい反応をしてくれる。
益々好きになってしまうなぁ。
「いじわる・・・・・・・・」
「・・・・・・・ごめん、本心だったんだ」
「そういうトコがいじわるなんですぅっ!」
っと、今度はいじけてしまった。口を少しだけ尖らせて、僕に視線だけを送りながら顔を背ける。
一体どこでそんな技術を身につけたんでしょうね?後で聞きますか。
反省した気持ちを表すために、僕は彼女の体を優しく抱きしめた。秋の終わりだというのに薄着を着ていたからか、彼女の体は少し冷たい。
その冷たさを暖めるように、少しだけ力を込めて・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・ゆるします」
「・・・・ありがとう」
不服そうに告げた彼女を離し、その姿を見てみた。カボチャの仮装だろうか。愛らしい見た目にマッチしてて、とても似合っている。
「うん、可愛いね」
「~~~!」
嬉しいのと、恥ずかしい気持ちが混ざって悶えているように見える。可愛い反応だな、なんて思いながら、僕は微笑んだ。
それを見て、彼女は頬を膨らませる。
――プニ。
「あぅ」
膨らんだ頬を突くと、柔らかい感触とともに萎んだ。元の整った顔。
「じゃあ、何する?」
彼女が来る時は、大抵が家事が終わった時。暇なのか疲れたのか、どちらかは格好を見ればすぐに分かった。
一体彼女は、何がしたいんだろうね。
けれど、僕の問いに彼女は答えない。
先程までの比では無い程に顔を赤く染めて、俯いてしまった。恥ずかしい合図だ。
「・・・・・・・・・・・・す」
「?聞こえなかったよ」
何かを、小声で呟いたようだが、生憎と距離がある所為か聞こえなかった。これは僕にしては失態だね。
反省点を頭の隅に留めておいて、僕は彼女との距離を一歩分近づけた。
手を伸ばせば届く距離に入った途端、彼女は決意を固めたみたいだった。
バッ、と顔を上げて、僕の顔の目の前まで来てから彼女は告げた。
「と、とりっく・おあ・とりーとっ!お菓子か私のいたずら、どっちがいい?」
真っ赤な顔で、恥ずかしそうに告げる彼女は、今までの彼女の中でも一際可愛かった。僕の彼女への好感度は限界を知らないのかもしれない。
愛おしくて大好きな気持ちが、さっきから溢れて来るから。
彼女にとっては、どっちを選ぶのが正解なんだろうね。
もしかしたら、東大入試の選択問題よりも難しいかもしれない。
ハロウィンの彼女 抹茶 @bakauke16
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