第7話 恋ってどうしよう……
校門のところで洋介さんが待っていた。
「すみません待たせてしまって……」
「大丈夫だよ。俺も今来たところだから。それより急に電話してごめんよ。昨夜あんな事があったから心配でさ。今日大丈夫だった?」
「はい。皆んなの普通振りにびっくりしましたけれど、これが普通なのだと理解しました。」
「そっか。なら大丈夫だね。あとさ……敬語使わなくていいからさ……。友達と話す時みたいに話してよ⁉︎」
「えっ、でも……」
「その方が俺も楽だし。ね、そうしなよ。」
「はい……。努力します。」
「良かった。俺さぁ……実は美和ちゃんの事好きなんだよね。」
「えっ……私の事をですか?」
「かなり前からね。」
「嬉しいんですけど、私、異世界人ですし……何もとりえがなですよ……」
「俺にとっては、異世界人かどうかは関係ないし関係ないし、とりえだって必要がないんだ。ただ、君であればいいんだ。付き合ってくれるかい?」
「でも、彼女がいるんじゃないですか?」
「彼女はいないよ。君より大切な子はどこにもいないよ。」
「嬉しいですけど、おばさん達が反対するんじゃないですか……」
「大丈夫だよ。俺の気持ちは伝えてあるし、美和ちゃん次第だと言っていたから」
いつの間にそんな事……おばさん達が普通だったから気がつかなかった。
かぁ……。私の気持ちもバレていたのかしら……はっ、恥ずかしい……。
「わ、私も洋介さんが好きだと最近気づきました。好きです。でも、お付き合いはもう少し待って下さい。心の準備がしたいので……」
いいんだろうか私で……好きな人に、好きだと言われてとても嬉しい。
だけど、この世界で生きていく覚悟はしたけれど、私の世界に未練が無いといったら正直ウソになる。こんな気持ちのままでいいのだろうか?こんな私で……考えてもしょうがない事だと思う。上原さんはどうしたのかなぁ……私の様な気持ちに成らなかったんだろうか?聞いてみたい。連絡して会いに行こう。
日曜日なら大丈夫だと言われて行く事にした。行きも帰りもバスで行く事にした。正直この間の様に魔物が出現しないか不安だった……けれど、私の悩みは上原さんにしか相談できない。上原さんに意見を聞きたい。
「上原さんこんにちは。今日は無理言ってすみませんでした。」
「大丈夫よ何かあった?」
「えぇ……あの……実は、洋介さんに好きだと言われて……付き合って欲しいと言われて、どうしたらいいのかわからなくて……異世界人ですし……割り切ったつもりでも、元の世界に未練がないわけでもないですし……上原さんはどうしたのかな……と、思って……。」
「そうね……私も主人から好きだと言われて美和さんの様に悩んだわ。最初は断ったのよ。でもね、主人は諦めなくて、何度も言ってきたわ……根負けしたというか、私も主人の事が好きだったから素直になって受け入れたわ……」
「素直になる……ですか……そうか、そうですね。私、素直になります。洋介さんにちゃんと伝えます。考えてる事を伝えてわかってもらいたいです。」
「そうね。それがいいわね。」
「はい。上原さん相談にのって下さりありがとうございました。」
「また、いつでもいらっしゃい。」
帰り道はウキウキした気分だった。バス停で洋介さんが待っていた。
「どうしたんですか?」
「君が戻ってこないんじゃないかと心配になって……」
うわぁ……ムズムズする……
「洋介さん待っていてくれてありがとうございます。私、嬉しいです」
「美和ちゃん、なんだか明るいね。」
「そうですね……自分の気持ちに気づいたので。」
「……。気づいた?」
「はい。私、異世界人の自分じゃダメだと思っていたし、この世界で生きていくって覚悟したのに、元の世界に未練があるし……こんな気持ちじゃダメだと思ってたんです。洋介さん、こんな中途半端な私でもいいですか?」
「そんな事を気にしてたのかい。俺はそのままの美和ちゃんが好きなんだ。」
「ありがとう洋介さん。私、洋介さんが好きです。付き合って下さい下さい。」
「嬉しいよ。俺、美和ちゃんの事大切にするよ。」
「私も大切にします。」
それから数年後、洋介さんは 魔法局に就職して活躍しています。
私ですか?私は大学を卒業して、洋介さんの奧さんになりました。
それに、先日双子のお母さんになりました。
とても幸せです。
異世界であなたと一緒に恋をする サチヤ @sachiya040507
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