1ー4 ハローわたし!




「んにぅ」


 目をこしこしして、ぼんやりしてる頭に刺激を入れてやる。

 いつの間に寝ちゃったんだろうね。

 散々な目にあった気がするけど、お顔にすいつくまくらのおかげですっごく気分がいい。こんなまくらがあるなら使わせてくれればいいのに、お父さまったら。




 もうちょっとこうしてたいなぁ。

 すりすりっとまくらに顔をすりつける。

 肌ざわりがなんかもう、さらっさらのくせに適度にしっとりしてる。

 いい匂いもするし、ほあほあだし、あったかいし、なんだか天国にいるみたい。雲の上で寝たらきっとこんな感じなんだろうなぁ。あ、なんかちょっとひんやりしてるとこもある。




 いつもよりさらさらのシーツをぎゅっと握りしめて、ふと疑問に思った。


 なんか私、縦になってない?


 思い返せばベッドにたどり着いた記憶がない。

 おやすみなさいはしたはずなんだけど。

 それどころか、寝る前まで大騒ぎしてたような……。




 とぉっても大事なことを忘れている気がするぞぉ?







「あら、起きちゃった?」


 なんだろうとうんうんうなっていたら、やけに近い位置からきれいな女の人の声が降ってきた。




 上から?




 なんで? と思いながら頭を上げれば、そこには月のような大きな目が二つ。

 とんでもなくきれいな女の人がこっちを見つめていた。


「……めがみしゃま?」


 まだちゃんと起きてない意識でとっさにでてきた言葉は、それだった。

 あれ、あれ?

 私また死んだのか?!


「ふふっ、女神さまかぁ。そうとも言えるかもしれませんね」


 顔をかたむけて恥ずかしそうに笑う女神さま。

 だって、だってそうとしか言えないくらいの美人さんなんだもん!

 ニコってしただけでまわりにお花が散ったみたいにふわってするの!

 こんな人が人間なわけないでしょう?!

 ただ笑っただけなのよ!

 声だってすきとおってるみたいに気持ちよく耳に入ってくるし!




 ていうかこれ女神さまにだっこされてんの?!

 さっきまでまくらだと思ってすりすりしてたのはおっぱいか!!?

 私の頭くらいあるこれに!?

 さすが女神さまだな!?

 ここに顔つっこんだの?!

 それだけでも許されそうにないのに、おはだにべっとりつけたひんやりの原因は許されないよ私!!!!

 おむねからおへそまで開いてる服なんかきてる女神さまも悪いけどさあ!!!

 てかその服どうなってんの?!




「あの、しょの! ごめんなさい!!」


 急いでよだれを自分のお洋服でふき取る。めくりやすいワンピースでとっても助かった。

 悪いことをしたらすぐあやまる、これは私の周りでさんざん言われてたから覚えてる。とっても大事!

 ちゃんと気持ちがこもってれば許してくれるはずだ。




 でも、そうじゃなかったらどうしよう。

 胸がきゅうってなる。

 ごめんなさいって思いを込めて、上目づかいで見つめてみる。お父さまには効くけれど、この人にはどうだろう?

 許してくれるかなぁ……。




「あなたは子供なのだから、気にしないでいいのですよ? それより、気持ちよく寝れた? もうすっきりかしら?」


 よかったぁ、怒ってないみたい。

 それどころか、私のことを気づかってくれてる。

 やっぱり女神さまってくらいになると心も広いんだなぁ。


 あ、それより!


「あの! アルティっていいます! えと、アルティめいあ・ぐえんさーです! いつもおとうさまがお世話になってます! よろしくおねがいします!」

「ふふ、アルティちゃんね。わたくしはベアトリーチェ・アウルム・ドラグロアといいます。こちらこそよろしくね」




 とぎれとぎれのめちゃくちゃになっちゃったけど、ちゃんとごあいさつできた!

 この女神さまはべあ、ベアんと……あうーむろらぐろわさんっていうのね、おぼえたぞ!


 それから、ちゃんとできたねってほめてくれた。

 ふおぉ。

 なんだか、胸がぽかぽかする。


 ほめられるって、うれしいんだ。




 たぶんだけど、この人がお父さまが会わせたくなかったお客様なんだろうね。

 お父さまの話だとなんだか怖い人みたいな感じだったけど、全然そんなことないじゃないか。

 こんな優しそうな人、他にいないぞ?


「そうそう、わたくしのことはお母様って呼んでね?」


 頭の中にまでしみわたりそうな声でささやかれながら、優しく、優しく頭をなでてくれる。


 お母さま。おかあさま。オカアサマ……。


 ゆっくりと髪をすべるその感覚が、手の熱が、とっても心地よくて。

 お母さんになでられるって、こんな感じなんだろうか。






「んぃぅ、おかあしゃ……」

「んんっ―――――!? 」


 そんな風にほわほわにされてたら、ろらぐろわさんが急にビクゥッってなってだっこする力が強くなった!


 ほわああぁあぁおしりがあぁぁ!!!!




「そう、そう! わたくしがあなたのお母様だよ! ちゃんと呼ばれるのは全っ然違うね! ふへ、わたくしの娘っ! わたくしの、わたくしの!!! とヴィーノの子供!! こんなにかわいい子を拾ったっていうのに黙ってるなんてヴィーノもひどいなぁ!!!」


「にぃ……」


 ふわっと持ち上げられて、スッゴイ嬉しそうにぎゅってされなおされたあと、ほっぺにほっぺをすりすりされる。

 ほっぺが熱い。そんなにごしごしされたらとれちゃう。




 こんな子がほしかったって言ってくれるのはうれしいけど、女神さまがぐへだとか、うへへなんて笑っちゃだめだと思うの。








 満足いくまですりすりとしたろらぐろわさんもといお母さまは、初めて見た時よりもなんかきれいになってた。こういうのをテカテカしてるっていうのかしら。

 さすがに痛くなってやめてお母さまって言ったらよけいに力が強くなったから、止めるのはとちゅうであきらめたよ、うん。


 この人もなんだかんだ言ってお父さまといっしょなんだなぁ。私に会わせたくないっていうより、お父さまが会いたくなかったのかしら。えと、なんだっけ? どうぞくけんお?


 とにかく、お母さまって単語は禁止だ。

 お父さまだけでけっこうな目に合ってるのに、アレが二人に増えたらさすがにもたない。なんでか愛されてるのはわかるんだけどね。


 私のおしりとほっぺの安全のためにも、ここはびしっと言わなければっ!




「あの、ろらぐろあしゃ――「お母様」」


「えと、ろらぐ「お母様だよ」」


「ろら「お母様って呼んで?」」






「…………………おかあしゃま」




 うん、ダメですよね。

 というか眼がヤバい。金色に輝いてる髪が生易しく思えるほどギラッギラしてる。でもって、こーふんしてるからなのか顔も赤いし息もあらい……。

 そんな顔でじぃって見つめられたら折れますよ。




 そうやって私がお母さまにもみくちゃにされていたら、視界の隅っこで何かが動いた。


 あれ、なんだろう?

 崩れかかった壁から生えた二本の何かがバタバタってあばれてる。




 あっ、アレお父さまだっ。

 私が泣いてたのを聞いて急いで来てくれて……。




 そんで割り込んできたお母さまにはじき飛ばされて壁につき刺さったんだった。

 私だいぶ寝てたと思うんだけど、その間ずっと刺さりっぱなしだったの? 大丈夫?


 って心配してたけど、ぴたぁっていきなり動かなくなったと思ったらぬるんって音も立てずに抜け出した。

 き、キモ――けがしてないみたいだけど、その動きはやめよ?


 ほこりまみれのままゆらりって立ち上がると、下を向いたままこっちに近付いてきた。

 顔が見えないから何考えてるのかわからないけど、なんかお父さまの様子変じゃない?

 い、いつもだったらそんな汚い格好で私のところにこないんだけど、もしかしてテンション振り切っていらっしゃる?







 ――まっずい、お父さままた周りが見えなくなってる!


 お母さまは私をナデナデもちゃもちゃするのに夢中で、後ろから近寄ってくるお父さまに気付いてない。

 聞いてただけだからよくわかんないけど、喧嘩するくらい仲良くないんだよね?

 すくなくても私に会わせたくないくらいにはきらいだったりするの?

 もしそうだったら、お母さまがけがしちゃうかもしれない!




「おかあさまっ。おかあさま!」


 気付いてって背中をぺちぺちしたんだけど、全然気づいてくれない!

 んもうっ、前みたいに力が出ればちょっとは違うかもしれないのに!




 そうこうしてるあいだにも、お父さまはふらり、ふらりってこっちにちかづいてくる。








 いくらいつも優しくても、見たこともない顔で、目を真っ赤にしながらちかよってくる男の人は、こわい。

 おこってる人は、なにをするかわからないから。


 けど、けど。

 どんなにおこってても、私に痛いことはしないはず。

 お庭の時も、看病してくれてた時も、いつだって私のことを見てくれてたんだから。

 のことであれだけ泣いてくれたこの人が、これ以上傷つけるなんてことするはずない。


 だから、大丈夫。大丈夫だ。


 気づいてもらうことはあきらめて、なるべくお母さまに傷がつかないように、きゅってしがみつく。

 私がくっついてれば、きっと止まってくれるはずだ。


 でももし、もしお母さまを傷つけたら、お父さまきらいになっちゃうんだからっ。


 だからやめてって気持ちを込めて迫ってくるお父さまをにらみつけていたら――。






「トリぃぃっ「やかましいっ」しぇぶあっ!!」

「ボクがアルティちゃんをかわいがってるのに邪魔しないでくれるかなあっ」




 お母さまの重たい声といっしょにびだんって金色のしっぽが落ちてきた。


 うん、よくやったしっぽ。

 お父さまはこうふんするとすーぐ暴走するからな。一度くらい痛い目を見ればいいの。

 床にべちゃってなってるけど、たまにはそうしてればいいよっ。




 それにしてもお母さまってばすごいっ、背中に目でもあるみたいにお父さまのことがわかってたみたい! 見てないのにしっぽがお父さまにあたって――。




 ……ん、しっぽ?


 伸びてる先をたどっていくと、お母さまのおしりに行きついた。


 え……?




 え、うん。

 ちょっとびっくりしたけど、アレお母さまから生えてるのよね?

 前世だったらいなかったけど、インストールさんいわく私のよく知る人間のほかに、こういう動物とかの特徴を持った人間もいるらしい。さすが異世界ってやつかしらね。それとも一種類しかいない元の世界がおかしいのかしら?

 疑問に思った時にすぐインストールさんが答えてくれたから、なんとか飲み込めた。


 でも、すごいなぁ。

 見た目ほっそりで服の下がみっちり筋肉なお父さまを一撃でしずめたしっぽは、とんでもなく力が強いみたい。

 あんなのに巻き付かれたら、私だったらひとたまりもないかも。


 けど、お母さまのしっぽだ。

 からだの一部なんだし、かみついてきたりしないよね?




 ううん、今はそんなことどうでもいい。




 このしっぽってばきらきらしてて、宝石みたい。

 さわっちゃだめかなあ?


 そんなことを思いながらうーんって手をのばしてたら、その様子をお母さまがじーっと見てた。


 んー、なんでだろ?

 あっ、人と違うところさわろうとしたらいやだよね。

 お母さまみたいに尻尾があったら面白そうにさわられるのいやだもん。




「ごめんなさい」


 慌てて手を引っ込める。

 けど、しゅんってしてたらお母さまが目の前でゆーらゆーらってゆらしてきたっ。

 しっぽにあわせて私の頭もゆーらゆーら。


 も、もう!

 私は人のいやなことはしないんだから!


 一度はぷんって顔をそらしたんだけど、ゆれてる感じがつたわってきてどうしてもそっちに目がいっちゃう。


「気になるんでしょ?」


 ぴこっぴこってさきっぽがおじぎしてくるけど、気になんてならないっ

 ならないもんっ。

 だからその動きをやめるんだ。


 けど、そんな気持ちなんて知らないなんてばかりに、私の体は動きに合わせてゆらゆらぴょんこぴょんこって勝手に動く。


 もうきょうみないのっ。

 みないのっ。

 やめてー。




「触りたい?」


 へ?

 まさかの言葉に勢いよくお母さまを見上げちゃった。


「いいの?」

「アルティちゃんにさわってほしいなぁ」


 思わずみゅんみゅんしちゃった私にくすくす笑いながら、しっぽをさわりやすいように近づけてくれた。


「はい、どうぞ」


 そ、そんなこというんじゃ、ほんとにさわっちゃうんだからねっ。

 そんなわけで手をしっぽにむかって、ぺとっ。




 ……ぅおう。

 お父さまを簡単につぶしたから硬いのかと思ったけど、そんなことは全然ない。うろこはすべすべしてて、ほんのりあったかい。指で押してみれば、ぷにって返ってくる。

 思い切ってぎゅーって抱きついてみたら、うにうにって動いてからだがゆらされる。




 楽しい。

 楽しいぞこれ!




 きゃっきゃってはしゃいでいたら、すんって音。なにやらお母さまが苦い顔をしてるの。

 どうしたのかしら?




「ところでアルティちゃん? ちょっと聞きにくいんだけど……」

「なあに?」

「お風呂に入ったのはいつかな?」

「おふろってぇ?」


 おふろ?




 オフロ、おフロぉ……。








 お風呂!

 あの、白い煙が出てるたくさんのお水のことかっ。

 からだをせーけつにするところだっけ?


 でも、キレイにするだけなら寝る前にお父さまがあったかいタオルで拭いてくれてる。

 きたなくないはずだよ?


 いつもそうやってキレイにしてもらってることを伝えたんだけど、それを聞いたお母さまは笑顔で固まっちゃった。


「そう……そぉう」


 ……キレイにしてもらってるかってことを聞きたかったんだよね?

 な、何かやらかしちゃったんだろうか?

 さっきまで優しかったお母さまの、なんていうんだろう? 雰囲気、が変わった。

 だっこされてるからあったかいはずなのに、なんだかとっても寒い感覚がお母さまから伝わってくる。




 あれ?

 さっきまで気にならなかったけど、お父さまの向きがさっきと違うような?

 あ、ちょっと動いた。


「アルティちゃん、ちょっとお耳をふさいで、おめめをギュッとしてるのですよ」


 どうして、ってお母さまを見たら、にこってされた。

 そしてそのまま目線はいつの間にかだいぶ離れているお父さまの方へ。


 原因はヤツにあるらしい。


 ふわり、と片手を顔の横に動かされたから、それにならってもう片方の手も耳にあてる。

 お耳をふさいで、目をとじ――ようとしたら、後ろからでもわかるくらいだらだらと汗を流してるお父さまにしっぽが巻き付いていくのが見えた。


 じたばた暴れて離れようとしてるけど、そんなのおかまいなしに引きよせられてどんどんぐるぐる巻きにされていく。




 うん。

 これは見ちゃいけないやつだ。

 言われた通りにおめめをぎゅっ。








「あなたはっ!「へぶっ」女の子をっ!「おぼっ」何日もっ!「ぐげっ」お風呂に入れなかったのかいっ!!」


 べごん! ぼごん!


 って音と、お母さまの怒った声、お父さまの変な声が聞こえた。

 鳴ってるところが近いせいもあって、耳をふさいだくらいじゃ聞こえちゃってるよう。

 


「昔っからそういうところに無頓着なところはあったけど、それとこれとは話が別! 貴方は男だからいいけれど、娘ができたのならきちんとしなさい! いいですか女の子なんですよ! 一日一度は必ずお風呂に入れなさい! ちょっと聞いてるんですか!?」


 聞いてるというか、さっきから意識ないんじゃ。

 ぎちちちち、って背中の方で何かがしぼられてる。




 わたしーはーなにーもきこーえなーい。









「起きなさい!」


 かけ声と一緒にまぶたががぴかってしたら、それと同じタイミングでみ〝ゃって声が。


 な、なにされてるんだお父さま……。


 ちょ、ちょっと見てみたいけど、けどどうなってるか見るのも怖い。






「ゔぁぶゔぃ」

「ぴゃっ!?」


 好奇心のあいだで迷ってたらおばけみたいな声がっ!


「ぶびばべんべびば」



 な、なにっ?

 そのへんな声は私に話しかけてきたんだろうけど、何言ってるのか全っ然わかんない!

 ギュってお母さまにしがみつく!

 へんなのがいる!




 おそるおそる声のほうを見てみると、お母さまのしっぽに巻き付かれてる赤い髪のなにか。その髪も何があったのかくるっくるのもっこもこになってる。

 時々カタカタって頭を揺らしてる不気味なそれに、なんとなく見覚えがあるような、ないような……。




 これお父さま?




 私の視線を感じたのか、それがこっちを見た。

 んだよね?


 うわあ。

 かつてイケメンであった顔がぼっこぼこにふくれあがってら。

 おめめなんてふくれあがってるし、その上左のほうなんて真っ青に。

 おまけにお肌のところどころがこげたみたいに黒くなってる。

 いつもだったらあまりの痛々しさに悲鳴あげたんだろうけど、あまりに現実離れしたけがの状態に頭がおいつかない。

 どうなってんのそれ?




 なんて思ってたら。


――ぽんっ!

 って感じでお父さまの顔が元通り。

 うわキモッ。


 声に出さなかった私を誰かほめてほしい。




「あ、アル――んべっ」


 なにか言おうとしてたけど、ぺって元いたところに捨てられた。

 お母さまの目が冷たい……。


「さ、アルティちゃん。ボk――ん〝ん〝っ! わたくしとお風呂に行きましょうね」


「えと、おとーさまは?」


 あのままでいいの?


「置いて行っていいのです。少しは頭が冷えるでしょう」


 そういって、わたしをどこかに連れて行こうとするお母さま。

 肩ごしにはぷるぷるしながらもこっちにむかって必死に手を伸ばすぼろぼろのお父さま。


 ど、どうすりゃいいんだこれ。


 けど、お母さまのアレの後じゃ、さすがに逆らえない。

 それにお父さまが吹っ飛んだのはお母さまが悪いけど、それ以外はお父さまが悪いしね。

 深く考えるのはやめよう。




 いってきまーすってお父さまに手を振ったら、ものすごい顔で崩れ落ちた。


 まあいいか。

 それよりも今はお風呂だ!

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リバースト・アルティメイア 藤代りょうし @ryoushihuzishiro

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