「200文字探偵」あらすじ(800文字)

黄黒真直

「静かな密室」あらすじ

ある一族の末裔たちが、次々と不審な死を遂げていく怪事件。

行き詰まった刑事は、馴染みの探偵に協力を依頼した。


調査に乗り出した探偵だったが、一族は既に、疑心暗鬼の塊だった。

もともと黒い噂の絶えない一族である。何人もの男女を自殺に追いやったとも言われている。

一族の中でも、お互いを信頼しないのは当然だった。


翌朝、分家の長男がいつまでも起きてこないことに、その母が気付いた。

危険を察した刑事と探偵は、彼が用心して寝場所に選んだ地下室へ走った。


内側から鍵のかかった地下室。鍵は長男が持っているため、開ける手段はない。

二人は鍵を破壊して、無理やり中へ突入した。


そこにいたのは、布団の中で死んでいる長男だった。

ひとつしかない部屋の鍵は、枕元にある。換気扇は小さく、人の出入りは不可能だ。

狭く静かな密室で、探偵は息苦しさを感じた。その横で、刑事が男の死体を調べた。

「窒息死だな」

刑事の言葉に、探偵は頷いた。

「だろうな。換気扇が止まっている。どうりで静かなわけだ」


またしても探偵は、一つの謎を200文字で解いた。

だがまだ、大きな謎が残っている。

この連続不審死は偶然なのか、何者かの犯行なのか。


探偵はこれまでに不審死のあった現場を、すべて調査した。

一つの現場に踏み込むたび、探偵は200文字で死の真相を明らかにしていく。

合計4つの不審死を、彼は800文字で解いてみせた。


いずれの死も、偶然で説明できる真相だった。

まさかこの連続不審死は、偶然の産物なのか。

刑事がそう疑ったとき、探偵が言った。


「きみの言う通り、4つの事件はすべて偶然起こったものだ。偶然石柱が倒れ、偶然ヒューズが切れた。だがその偶然が起こるように、屋敷中にトラップを仕掛けた者がいる」


「誰だ、そいつは?」


「逆から考えればすぐにわかる。自ら手を下せず、トラップに頼らざるを得なかった者。そして、この一族に恨みを持っていた者――犯人は先月自殺した、あの少女だ」

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「200文字探偵」あらすじ(800文字) 黄黒真直 @kiguro

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