コンピュータ人間
ZorA
第1話 気づき
去年の冬、僕は就職した。今まで手を出さなかった分野に。どうしてかは自分でも分からない。ただ僕は周りの人とは少し違う人間だった。
僕の名前は蒼空。普通に義務教育を受け、高校に行き、大学を出た。大学生活は音楽に打ち込み、特に周りの人となんら変わらない生活を送っていた。
「おはよう」
「おはよう。今日はなんだか元気がないね」
いつものように挨拶を交わす遥香に何故か突っ込まれた。僕は大学後の進路は何も決まっていなかったが遥香は就職が内定していた。その頃から僕はすでに周りの人とタイミングが遅れていたのかもしれない。
「蒼空は進路決まった? あれからなにも進展ない?」
僕は少し戸惑いながら苦笑いをしていた。
「そっか……早く決まればいいね」
遥香はそう言うと教室に入っていった。
僕は就職などできないのだ。それは生まれた時から分かっていた。なぜならコンピュータ人間だからだ。
コンピュータ人間だと気づいたのは僕が中学にあがったときのことだ。僕はいつもと変わらない日々を送っていた。沢山の友達と好き嫌いな先生と放置な両親と。
毎日の生活の中で僕は新しく覚えたことや経験したことはその都度上書き保存をしなければ忘れてしまう、そんな状態だった。今日習った数学の計算、英語のつづり、時間割変更、体育大会の練習、全て終わった後に頭の上書き保存をしてから帰る。
周りの人々と見た目は変わらない。だが頭の構造が違うのだ。当たり前のように変化していく毎日だが、僕はそれについていくことが出来なかった。
そんな僕に転機が訪れたのは去年の冬。ある人の一言から始まった。
コンピュータ人間 ZorA @RiKuZorA
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