第4話 月刊ヌー編集部
月刊ヌーという雑誌がある。
まぁ、うちの事なんだけど。
GNU is Not Undefined.
この世には不思議な事など何も無い
というような意味合いで付けられたらしいのだが、同じ単語が別の意味ですでにあったので、カタカナで表記する事にした、と聞いている。
「どうすっかー、この記事・・・」
俺は頭を抱えていた。
すでに、次回予告としてヅラハンさんの記事を載せる事にしていたのだが、全くと言っていいほど、話が集まらなかったのだ。
「エリちゃんが話していた、みーちゃんのお話なんか結構それっぽいですけどねー。」
と、お茶の準備をしながら美芳が言う。
「あれは、ちょっと不思議な体験と言えるかもしれないが、落ち着いて考えてみると、ただベンチで寝ていたら猫が帰って来た、というだけだからなぁ。」
読者の体験記としては面白いが、特集の記事にするにしては関連が薄い。
「このあいだの着ぐるみの話とか、面白くて不思議、というだけのお話なら結構集まったんですけどー。」
「うーん。特集は勘弁してもらって、都市伝説特集という形で逃げるしかないか。」
そうこうするうちに、お茶の準備ができたようだ。
こぽこぽとお湯を注ぐと、いつものように香ばしい香りが漂う。
今回もお茶受けは無かった。
ずずー。
「相変わらず、美芳のお茶はうまいな。」
「ありがとうございます。このお茶っぱ、この間会った、エリちゃんのお母さんからいただいたものなんですよー。」
「あー。あの無責任な母親か。」
渋い顔をして答える。
子供を放置して旅行に行くとか、俺には考えられん。
「無責任な訳じゃないですよ?姉さんなりにエリちゃんの事を可愛がっているし・・・でも、ちょっと私に押し付ける事多いかも・・・」
おいおい。擁護になってないぞ。
ちょっと話が不穏になって来た時を狙ったように、どこからともなく、
とっさに捕まえる。
「おいおい。俺になんか恨みでもあるのか?」
「編集長?!」
***
普段あまり顔を見せない大谷編集長を交えて、ふたたび、お茶の時間となった。
大人三人が
「で、何か変わった事でもあったのか?」
「いえ、実はですね・・・」
と、この間の
ついでに、この間の着ぐるみの話などで話が盛り上がると
「・・・なるほどなぁ。おまえらも妙な体験をしているもんだ。」
と、妙な感心のされ方をした。
ちなみに、今日の味はウィスキーだった。
よくこんな味の
「ところで、編集長。この飴って、どこで買ってきたんですか?」
話のネタが尽きた頃に、美芳が質問をする。
「これは昨日、駅前に出来た飴専門の店があってな。」
昨日出来た、という事は、前の
ごりごり飴を囓りながら考える。
ちなみに、美芳の味はスミレだったらしい。
あ。記事の方は
ヅラハンさんの日常 余記 @yookee
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