第43話「混乱させるつもりはなかったの」

私が?

春樹の初恋の相手が、私!?

頭の中がパニックになった。


心配そうに私を見つめるゆかりさんが、

「ごめん」と一言。


まるで地面に呟くように

か細く、小さな声でこうも続けた。


「あなたを混乱させるつもりはなかったの」


混乱...混乱しているのか、私は。


そうか、そうだ。

そう願っていた。

春樹が私のことを好いてくれることを。

ずっと願っていた。


でも、ゆかりさんの言葉が信じられなかった。


だからこそ、なぜ今このタイミングで

それを私に言ったのか、気になって仕方がない。


言わずにはいられなかった。


「ゆかりさんは、なんでそれを知ってるの?」

「何を根拠に、それを断言できるの?」


沸々と怒りの感情が言葉にのってしまった。


あの時の私は、とてつもなくカッコ悪かったに違いない。




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歩道橋に置いて たふろん @tarflon

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