名無しの手紙
カエサル
第1話
拝啓……親愛なるあなたへ
この手紙をあなたが読む頃には私はもうこの世界にはいないと思います。きっとあなたは悲しんでくれてると思う。けど、ごめんね。私にはこの世界は少しだけ辛かったんだ。
あなたに気持ちを伝えようと頑張ったんだけどね……臆病な私には無理だったんだ。だから、手紙にすることにしました。
いつも明るくて前向きでこんな私にも気兼ねなく接してくれるあなたのことが好きです!♡
そんな君が羨ましくも憧れだった……
頭も良くてスポーツ万能なあなたのことが好きです!♡
君はなんでもできたよね……わたしとは大違いだった……
初めて会った時から、ずっとずっと好きだったんだよ!! だけど、あなたは人気者だから伝えれなかったんだ。
なんで君はわたしを選んでくれなかったの……どうして……
こんな形で伝えることになっちゃってごめんね。
あなたの好きです!! 大好きです!!
これが私の全ての想いです!!
─────Dera……
俺は読み終わった後、とてつもなく後悔した。
気持ちを伝えることができなかった少女の最後のラブレターを興味本位で拾って読んでしまったこと……最後の文字は掠れて読めなくなっており、その相手にも渡すことのできないこと……
そして……手紙に下の方に書かれていた最後の文章……
追伸……もしもこの手紙を君じゃない人が拾って読んだならきっと届けてよね……
じゃないと………………許さないから
今、俺の背後には誰かがいる。いや、そいつは誰かではない。きっと【わたし】なのだろう……
振り向くこともできずに俺はただただ、【わたし】がゆっくり……ゆっくりと近づいてくる気配に怯えるしかできなかった。
名無しの手紙 カエサル @Siu
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