レトロなマイクロフォンに秘められた、淡く切ない大人の物語
(非公開)☆ 【長】『幻のマイクロフォン』作者……古森 史郎さま
※ 出来るだけネタばれにならないように注意してほしい……という作者さまからのご要望がありましたので、差し支えのない範囲内でご紹介したいと思います。
なお作者さまの諸事情により、作品は現在非公開となっております。何とぞご了承ください。
『登場人物一覧』
【冬菇屋の耕太郎】編
片桐
柴田
芦田
芦田
柴田
丸山
後に耕太郎と海斗が調べた結果によると、真は昭和十三年に入社し録音技術部に在籍。その後日本陸軍へ出向するが、終戦の日に亡くなってしまう。真が残したレコード記録によると、敵の飛行機の音を感知する爆弾を作るための迎撃用のマイクロフォンを作るため、京都と甲府を何度も往復する。
【その男、録音技師】編
【その男、録音技師】編の主人公。
なお【その男、録音技師】編では、物語の流れの中で外国が舞台となっている。そのため呼び方を区別するため、ホルスト・ドリラー教授・ゲルンハルトたちは真のことを「マコト」とカタカナ表記している。
信念と情熱を持ちながらマイクロフォン作成に取り組んでいるが、考え方の違いから山本少佐と意見が食い違うことも多々ある。
ホルスト・シャックマン……バイオリン演奏が趣味のドイツ軍の技術将校。真と一緒に、ダルムシュタット工科大学で電気工学を学ぶドイツ人学生。銀髪で顔立ちは鼻が高い。
ドリラー教授の講義で初めて真と出会い、それ以降意気投合する。【その男、録音技師】編の主要人物。
ベルンハルト・ドリラー……ダルムシュタット工科大学で電気工学部を教えている教授。とても分かりやすく面白い講義と、生徒の間で話題になっている。身長二メートル以上ある長身で、髪の毛の色はブロンズ。愛称はバーナード。
カミラ……
ゲルンハルト……三階建ての一軒家で一人暮らしをしている老女。一階には真が住んでおり、二階には若い夫婦が住んでいる。とても綺麗好きな性格で、熱心なキリスト教徒。
柳田……帝都レコード會社の録音技術部に所属する男性。役職は部長で、真の上司にあたる人物。業務の一環として、真に長距離用で指向性の強い収音マイクの制作を依頼する。
向井……陸軍技術本部に在籍する本部長補佐官。メガネをかけており、階級は中佐。柳田に収音マイクの制作をお願いした人物でもある。
山本……海軍技術研究所に在籍する研究官。階級は少佐。山本少佐がドイツへ向かう際に、真を通訳(ドイツ軍将校のホルストからの指名)として同行させる。
芦田 菊子……芦田家に暮らすおかっぱ頭の少女。真のマイクロフォン作りに興味があるようで、お話の中で度々顔を出している。無邪気で好奇心旺盛な年頃の少女。
なお作中では真のことを「お兄さん」「めがねのお兄さん」と呼んでいる。
丸山 節子……色白で細面、かつ眉の長い優しい顔立ちをしている女性。言葉遣いが丁寧であることから、育ちの良い家庭で生まれ育ったお嬢様のようだ。職場の仲間からは「若奥さん」と呼ばれていることから、丸山櫛屋の跡取り娘だと思われる。
また作中では節子のことを「娘」と明記していたため、年齢は一〇代後半~二〇代と思われる。
『用語補足説明』
そば枕……そばの実の殻を乾燥させた素材を使用しており、通気性がよく頭を冷やす効果がある。ほど良い弾力性もあるのが特徴で、どのような頭でも使用可能。だがその一方で、そばアレルギーがある場合には注意する。
真空管……美咲が耕太郎のお店へ持ってきた品。繊細が構造になっているため、触れる時にはゴム手袋を使用する。
つげ
静電気や摩擦熱が起きにくいため、切れ毛対策にも活用出来る。さらに椿油を少量染み込ませることで、髪にツヤが出る。
ガレット……フランス北西部の郷土料理の一つで、丸くて平べったいパンケーキの総称。
『場所説明一覧』
足山旅館……京都府にある旅館。後に耕太郎・恵子・海斗の三人で、足山旅館を訪れる。【冬菇屋の耕太郎】【その男、録音技師】の両エピソードで登場する。
丸山
『特徴・印象に残った点』
一 中古品店を営むご主人の耕太郎の日常をテーマにした作品ということもあり、のんびりかつほのぼのとした作風が魅力です。時折軽い夫婦喧嘩をしつつも、しっかりと耕太郎を支える妻恵子の姿も見所です。
二 日常をメインにしたお話もあれば、真空管(マイクロフォン)をめぐる謎解きあり――などと読者をワクワクさせるような作風がポイントです。現代ドラマ+ライトミステリーというジャンルなので、万人受けする作品だと思います。
戦時中の言葉や化学用語などが登場することもありますが、専門知識がない方でも分かりやすいように書かれています。
三 詳細はネタばれになってしまうので伏せますが、ラストはとても心に訴えかけるような内容です。この作品を読んで、私と同じ気持ちを体感して欲しいと思っています。
また【冬菇屋の耕太郎】【冬菇屋の耕太郎】の二部構成になっているため、どちらから読んでもお楽しみいただける内容です。
四 作者さまの作品へ真摯に取り組んでいるその姿が、小説を拝見していると浮かぶような作風です。タイトルにもあります「マイクロフォン」をはじめ、そば枕やつげ櫛の特徴や中古品店ならでは雰囲気もしっかりと表現しています。とても真面目に作品と向き合っている――一読者として私はそう思いました。
『気になった点』
一 強いてあげるとすれば、【冬菇屋の耕太郎】編の最終話にもう数エピソードを入れて欲しかったと思いました。耕太郎をはじめとする登場人物たちが、ある発見をしてどのように感じたのか? そんな彼らの心情を詳しく知りたいと、個人的に思っています。
『総合評価』
【冬菇屋の耕太郎】編
日常・ライトミステリーのバランスが絶妙で、とても読みごたえのある長編小説です。時折難しい言葉も出てきますが、特に問題なく読める範囲内なので心配ありません。
そして仕事熱心な一方で、「厄介事はゴメン」という耕太郎の人間らしさが印象的です。そんな耕太郎を支える恵子の仕草も、まさに理想の夫婦という感じです。彼ら以外にも礼儀正しい美咲・いざという時にとても頼りになる海斗など、良い意味で個性的な人物が多数登場するのも魅力の一つです。
【その男、録音技師】編
日本人の真とドイツ人のホルストの友情が、何と言っても見所です。お互いに同じ夢を持つ者同士、
また大学で電気工学を教えるドリラー教授・珈琲店で働くカミラ・綺麗好きで熱心なキリスト教徒のゲルンハルトなど、個性豊かな登場人物が登場する物語だと思いました。
月影図書館 月影 夏樹 @six4ydct
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