ちょっと息抜き
春だ! 春と言えば、辞書の季節だ!
とうとう四月ですね。桜が咲いてますよ。そう、辞書の季節がやって来た!
……え? 意味が分からないって?
いや、だからつまり。春、それは辞書が一番買われ、一番売られる季
というわけで、四角號
とはいえ。漢和辞典と一口に申しましても、それはもう各出版社それぞれいろいろ出してるわけです。版の変遷も数に入れれば、さてどれだけの漢和辞典があるものやら見当もつきません。
え、どうせそんな違わないでしょ……と仰いますか。
おいこらじしょをなめんなよ?
おっと失礼。まぁ話せばキリがないですからね。ひとまず、たかぱしさんの使っている漢和辞典を今日はご紹介しましょう。
まず筆頭は、やっぱりこの一冊!
『角川 新字源』1994年改訂版/小川環樹,西田太一郎,赤塚忠,他編[角川書店](1999年1月33
KADOKAWA! いやいや、忖度とかじゃございませんよ。高校入学の時に買い、大学、大学院と使い込んだ正真正銘の相棒です。
いやぁでも、思い入れがあるだけに、新字源はおすすめの漢和辞典ですね。
なにが良いって、部首や漢字の最初、いのいちばんに字の成り立ちが説明されていまして。これが読んでて面白い! そして成り立ちから本来の意味を説明してくれる! なお、漢字の説明は、どうでしょう、小川環樹先生の流れですからね、西っ
手許にあるのはバージョン2たる改訂版なんですが、現在の最新はバージョン3。その名も改訂新版になります。親
そもそもなぜ高校入学時に新字源を選んで買ったのかといいますと。当時の改訂版の本体には、なんとも触り心地のいい紙のカバーが巻かれていたのです。鮮やかなオレンジに謎の白い絵柄(今見てもなんなのか謎)の入った上質な紙のカバー。これは辞書としては異色でした。
おお、なんだこれ、かっちょえー。と一目惚れし、かつ高校指定の漢和辞典三種の中では安い方だったこともあり(実は値段だったのかもしれん)、中など見ないで新字源を購入しました。
そして高校三年間、授業では一回か二回使った程度できれいな箱、本体、カバーのまま卒業。
大学に入学し、漢文を読むためにピッカピカの新字源を持って行き、ひたすら漢字を引くはめになるのですが。……いざ使ってみると、紙カバーは……めっちゃ邪魔……だった! 触り心地がいいからって開き心地がいいわけじゃなかった! 浮くし! なんか破れてくるし! カバー外したわ! てか、辞書なんだから使い心地を考えろや! と思ったわ!
なお、現在の改訂新版は、辞書ではもっともポピュラーなビニルカバーになっております。安心ですね。(ビニルはビニルでだんだん汗かいて持ちにくくなるんだけど。どうせやっぱり外すんだけど。最終的には本体の触り心地が重要。)
そんな出会いではありましたが。最初に手に取った漢和辞典が新字源で良かったと思います。
さて、漢和辞典を語る上で外せない要素に、引きやすさ、というのが当然あります。
引きやすさ? どこで差が出るの? とお思いでしょうね。
分かりやすく言えば、前小口のインデッ
新字源は……特に使いやすくないんだ、これが。これについてはあんま褒めるところない。あえて言えば、余分なインデックスがないから、自分でインデックス書き込める……ぐらいか。
新字源は、解説本文だけでページ番号を振っていて(それは普通)、そのページを100ページごとに段分けインデックスしてくれています。それだけ。特に数字とかも書いてないから、段の数を数えないとどこが何ページかぱっと見は分からない。まぁ、なにもないよりは……マシか……みたいな。
なので、たかぱしはまずインデックスに数字を自分で書きました。が、数字書いても、そんなに便利になりませんでした。ですので、漢字数の多い部首やよく使う部首の38個を自分でインデックスしました。つまり、さんずいの漢字の載ってるページをつまんで、マーカーで四角く塗って、横に「水」と書いておく、と。そうすると、さんずいの漢字を引きたいときは、そのマーカー部分を開いて画数で引けば索引いらずで引ける……というわけです。便利!
部首の画数ごとも別色でマーキングしようとしましたが、こっちはうっかり途中で間違えて混乱したんで、止めました。ちゃんとできていたら、ハイパー便利漢和辞典になってたのに……っくぅ!
※改訂新版では部首画数インデックスに進化しました! 隙がなくなっていくなぁ。
あと地味に嬉しい引きやす要素として、間違った部首で引いちゃっても、「その字は××ページを見てね」って優しく教えてもらえてだいたい困らず引けるってところです。
部首引きが好きになれる辞書だと思います。一方で部首を間違えたときにそれを教えてくれない辞書ってやつは……引くのがしんどくなってくる。
さて最後に。新字源改訂新版は、改訂記念の特装版があります。な、なんと! 箱ケースに中村祐介さん(『謎解きはディナーのあとで』『夜は短し歩けよ乙女』なんかのカバーイラストで有名ですね)描き下ろしイラストが! 本体はかっちょいい赤! 本屋でみたときは買いそうになりました。まぁ2017年発売以来今に至るまでずっと本屋にありますから、別に数量限定とかではないんでしょうが。まだ新字源を持っていないという貴方、一冊どうですか?
なんて言っておいて、正直改訂新版の二色刷紙面より改訂版の一色シンプル紙面の方が読みやすいと思うので、古本で探すのもありです。
さてお次は。……ん? もう辞書の話は終わりだろって? いやまだあるけど?
二冊目はやっぱりコレ。一家に一冊!
『漢字源』/藤堂明保,松本昭,武田晃,他編[学研](1988年初版1刷)
藤堂先
編者を見ていただければ分かるとおり、こっちはまるっきり東ですね。
ちなみに最新は改訂六版が2018年末に出ています。新字源の初版が1968年でバージョン3なのに比べると、漢字源は回転速度が速いですね。それだけ進化し続けているわけです。
最新版では親字数がなんと約17,500字! ハン
まぁ、気持ちちょっと分厚い印象だけど、漢字源。
学研さんは高校生向け漢和辞典~なんて仰ってますが、高校生にはもったいない漢和辞典ですよ、これは! 高校生に売るために言ってるだけなんでしょ? ね?
特徴としては、漢字の意味のあとに藤堂先生の「解字」があることです。新字源の成り立ちとはまた違います。要は、「象形」とか「会意兼形声」とか、非常に系統立った漢字成立解説が読めます。そもそも漢字の成り立ちというのは学説学派いろいろあるので、どれが正しいとは必ずしも言えません。で、漢字源は、藤堂説。音符重視。新字源は小川説。みたいな。面白いんで比べてみてください。
手許にある初版については、実は角川新字源以上にインデックスがシンプル! なのです。比較的珍しく、音訓索引が後ろについているんですが、その音訓索引と総画索引だけが塗り分けられていて、付録さえ分けられていません。……すごいな、シンプルだな。
ところがどっこい。そこは進化する漢字源! ですので、最新版の第六版では前小口に部首画数インデックスがついてます。やったね! 便利だ。
で、初版ではなく最新版のお話なんで、学研さんの受け売りになっちゃうんですがね。漢字源は多様化する日本漢字文化に対応! 進化し続けた結果、子供の名付けに使える人名読み索引対応! 日本語漢字使い分け詳細解説つき! もう迷わない筆順解説ばっちり! 人生に役立つ名言収録ロゴマークで一発発見! などなど、『「語彙力」「発信力」「表現力」を高めるのに役立つ漢和辞典!』がキャッチコ
初版の頃から「単語家族」や「類義」という項目が設けられていて、ほんと漢字全体の系統に着目した辞書でしたが、とうとう漢字文化全体を網羅しようとしている。すごいなー。
ちょっとわちゃわちゃしすぎじゃね、と思わないでもないが! 漢和辞典を廃れさせず、これからも新しい漢字の世界を先導しようっていうその意気やよし!
あ、わちゃわちゃなんて言ったけど、実際には第六版は比較的読みやすい紙面ですよ。本屋で小一時間ほど第六版を買うか悩んで……いまのとこ買うの我慢してる!
さて、三冊目は、ちょいと変わり種に行きましょう。
『常用字解』2003年初版/白川静[平凡社](2004年3月5刷)
『人名字解』/白川静,津崎幸博[平凡社](2006年1月初版1刷)
独自の漢字解釈、白川先生です! 白川先生は2006年10月に亡くなられましたが、その時の新聞記事の切り抜きが人名字解にまだ挟まってます。
もしかすると白川先生の名前は聞いたことがないという方もいるでしょう。しかし、白川先生の解釈はきっと聞いたことがあるはず。たとえば、「道」という字は、呪術的な目的で(敵の)首を持って歩くことにゆらいする、とか(正確な解説はちょっと違うので、正しくは常用字解を読んでみてね)。ちょっと怖い漢字の意味みたいな話の元ネタは白川先生の説が多いです。そういう民
ちなみに、新字源での「道」の成り立ち解説は「意符の行(辵)と音符の首から成り、長く通じている「みち」、ひいてみちをいく、「みちびく」意を表す」とあり、首はあくまでただの音だそうです。漢字源では「会意兼形声。辵(足の動作)+音符の首で、首(あたま)を向けて進みいくみち。」とのこと。怖い由来はない。
まぁ、解釈の話はいろいろしがらみが発生するのでおいとくとして。
本来白川先生の字書といえば、『字統』『字訓』『字通』が三大字書!なのですが。なんでそっちを持っていないかというと……高
でも白川先生の字書がどうしても欲しい……そんなあなたにぴったりなのが、そう『常用字解』。ついでに『人名字解』。こちらはハンディかつお手頃価格でございます。
現在の最新版は第二版で、『常用字解』は常用漢字2136文字を収録。白川先生の漢字の世界にひたるには、ひとまず十分でしょう。
なにより平易な解説なので、一種独特な漢字解説を分かりやすく楽しめます。あと、ちょっとした漢字小ネタとして披露できます。金八先生っ
で、この字書が変わり種というのは。別に解釈が独特だからではありません。
というか、漢和辞典とはちょっと違う「字書」なのです。
そもそも部首配列ではなく、五十音順配列。そして基本的な音訓の他は白川先生の文字解説、つまり漢字の成り立ち説明が続き、それで終わり。時折用例はあるものの、本来の漢和辞典のような意味とか熟語はありません。あくまで字書なのです。
白川先生の漢字世界にひたりたい方は、著作と合わせてぜひどうぞ。
白川先生が来たら、次はコレでしょ。え? まだ続くのかって? まだ続くよ?
『説文解字』1963年初版/漢 許慎 撰,宋 徐鉉 校定[中華書局](2005年6月24刷)
いやもう漢和辞典じゃないんですけど。せっかく手許にあるんでご紹介ですね。
そもそも説文解字って?という方もいらっしゃると思いますので、ウィキから引用しますと。
「最古の部首別漢字字典。……後漢の許慎(きょしん)の作で、和帝の永元12年(西暦100年)に成立し、建光元年(121年)に許慎の子の許沖が安帝に奉った。本文14篇・叙(序)1篇の15篇からなり、叙によれば小篆の見出し字9353字、重文(古文・籀文および他の異体字)1163字を収録する(現行本ではこれより少し字数が多い)。漢字を540の部首に分けて体系付け、その成り立ちを解説し、字の本義を記す。」byWikipedia
つまり、古代中国の漢字辞典! 漢和辞典の源流です。
なんでそんなもん持ってるのかというと、まぁ大学の漢字学の授業のテキストだったので。一年生のときに説文解字を読みながら、
この反切ってのがまた面白い。漢字で漢字の読み方を表記する方法です。
例えば、「丹」という字で超簡単に説明しましょう。丹の注には「都寒反」と書いてあります。この「〇〇反」とか「〇〇切」とかが反切の目印。その「反」の前の漢字二文字に注目します。
丹の場合は「都」と「寒」。このうちの先の「都」は子音を、「寒」は母音を表すとざっくり思いましょう。「都」は「と」で子音はT。「寒」は「かん」で母音はAN。合わせればTAN。つまり、「たん」。丹の音読みはたんですよ、という感じです。
厳密に言うと、当時の中国語読みで考える必要があって、四声(声調)もちゃんと考えられているので、もうちょっと込み入ってるんですが。仕組みはこんな感じ。
漢字は読みによって意味が変わるので、反切が漢文を読む上では重要な情報源!なわけです。
例えば「悪」。悪は「あく」と読むと「悪い」の意味で、「お」と読むと「憎む」という意味になります。熟語にすれば、「
漢文に「悪」という字が出てきたとき注に反切があれば、その文では悪いの意味で読むべきか、憎むの意味で読むべきか悩まずにすみます。
ところでこの説文解字。部首別とは言いますが、現代日本の部首とはずいぶん違います。なので部首引きは……まぁ難しい。中華書局が総画索引もつけてくれてるんですが……正直引くのはしんどい。気長に探すか、パラパラめくって楽しむのがおすすめです。
ちなみに定価20.00元って書いてある。今のレートだと、340円……? え、まじか?
さてでは、正規の漢和辞典に戻りますか。
え? まだあるのかって? 大丈夫ですよ。さすがにあと2,3冊しかないと思うんで。
『全訳 漢辞海』第二版/戸川芳郎 監修,佐藤進,濱口富士雄 編[三省堂](2006年3月3刷)
なぜ説文解字の次が漢辞海なのか。それは、字音情報がすごい!
だいたい漢和辞典なら、まぁ音訓の読みと、それぞれの意味は書いてあります。新字源にも詩韻の図(小さい四角の中に韻目っていう漢字が入ってて、四隅のどっかが黒い三角にマークされてるやつ。)はついてます。でも、中古代の音をいちいち全部表記してる辞書なんて、そうそう
あと用例がけっこう充実してまして、採録している漢文は全部書き下しと意味まで併記してくれているという親切辞書。付録もひたすら漢字と漢文読解に必要な情報を集めてあって、どこまでも漢文漢籍を読むための漢和辞典という感じです。さすが、「小さな大
ちなみに手許にあるのは第二版ですが、最新版は第四版です。たぶん2017年発行。
第四版での親字は約12,500字。新字源よりやや少ないですね。熟語は約80,000語。やはりちょい少ない。その分字音情報と用例が豊富ですので!
あと注目すべきは、後熟語の豊富さですね。後熟語ってのは、親字が「投」だった場合、悪投・完投・恵投・好投・失投・暴投という感じに親字が尻になる熟語を並べてくれている項目です。漢詩を作る場合には重要だからね、後熟語。
あと、引きやすさから見るインデックスですが、こちらなんと、部首画数インデックスでございます。しかもページをずらしたときに見える柱の部分に、部首とそのページに掲載されてる漢字が大きく一覧で見れるので、これはかなり引きやすい! 百聞は一見に如かず、ぜひ本屋で手に取ってみてね。
まぁ、三省堂さんは漢和辞典だけでも結構な数を出していらっしゃるんで、漢辞海は漢文マニア向けにしてみたんでしょう。
というわけで、次の漢和辞典は、同じ三省堂さんで行きましょう。
『新明解 漢和辞典』第三版/長澤規矩也,原田種成,戸川芳郎 編[三省堂](1989年9月16刷)
国語辞典でおなじみ(というか、一時すっごい流行ってましたね)の新明解です。新明解には漢和辞典もあったのです。
三省堂の漢辞海がマニアック向けなら、新明解はまさにご家庭向けとでも言いましょうか。
最新版は第四版(だと思うんですが、ちょっと三省堂の情報が分か
そしてなんと言っても掲載する情報を絞ったシンプルな漢和辞典です。多少、字音については韻字まで表記しているので詳しいですが、それ以外は本当にシンプル。必要な漢字の意味と簡潔な字源(字の成り立ち)、そして熟語と後熟語。熟語の中で最低限の漢文用例を示すものの、本当に最低限という感じです。
また部首への配置を新字体に依っているので、普段読み書きしている漢字の形からすっと引けるのも日常生活では助かりますね。旧字を知らないと部首引きできないって、一般人には結構つらいですからね。
付録も漢文を読むためのあれこれなんて不要なものは載せず、同訓異義語一覧とか人名漢字読み方一覧とか、日常で必要になるものばかり。
特に漢文を読むわけでもなく、とりあえず家に一冊ぐらい漢和辞典置いとこうかなって人なら(漢文学習者には向かない)、新明解国語辞典と並べて新明解漢和辞典を置くのがいいんじゃないでしょうか。
赤と緑の対照的なパッケ
ところで。三省堂さんのサイトでは新明解漢和辞典が品切れなんですが……まさか絶版でしょうか。なにやら他に新明解現代漢和辞典なる辞書が売り出されていて……取って代わられたか?
現代漢和辞典の方は、現物を見たことないので、今度ちょっと本屋でチェックしてきます。
ちなみにサイトによると、新明解現代漢和辞典の親字数は10,700字。さらに減少。
お次で八冊目ですね。我が家のニューフェイス。
『漢字典』第二版2006年初版/小和田顯,遠藤哲夫,伊東倫厚,宇野茂彦,大島晃 編[旺文社](2007年2刷)
最近入手しました。なのであんまり読んでないんですが。ぱらぱらっと見た感じ、ひっじょうにすったんだーどな漢和辞典という印象です。……ちょっと雰囲気新字源に近い……かな。
具体的にどう似ているかというと。まず「解字」という形や成り立ちの説明で始まっているところとか。部首冒頭で部首を間違えて引いてしまいそうな「他の部の字」を見やすく一覧にしているとか。そういう、こまごまっとしたところに似た雰囲気を感じます。
ちなみに解字は藤堂先生をシンプルにしたっぽいような、字によっては新字源っぽいような。ちょっとぱっと見では判断がつかないです。
編者筆頭にお名前を連ねていらっしゃる小和田先生ですが、寡聞にして知らずウィキってみました。しかしあまり情報も出ず。東大出で雅子妃の伯父様だそうです。ほう?
最新版は第三版が2014年に出ています。親字数が約10,000字。熟語数が約46,000語。そろそろ読者さんも分かるようになっているかと思いますが。すっくな! 超少ないじゃん! いやでも、漢字典、結構厚いんですよねー。おそらくコラム的解説の挿入が多いからでしょう。語法とか故事とかプチコラムとかが関連する漢字と一緒に読めます。
他の辞書でもよくありますが、それにしても同訓意義語とか名付け用読み一覧とか難読語とかの充実具合がなかなかこいつは揃ってます。もし高校入学を機に購入したのなら、そのままご家庭用として持ち続けてほしい漢和辞典ですね。漢文学習から一般常識までを幅広くカバーしてくれるはず。
ちなみにインデックスは部首画数インデックスです。音訓索引や故事成語索引が前についてますので索引機能も充実。とりあえず持つ辞書としては最強かもしれません。ちょっと親字は少ないけどねぇ。下手に多い辞書は、字を探すだけで疲れちゃうからねぇ。このぐらいがいいかもよ?
この漢字典、別冊付録で名詩
最後の一冊はこの間趣味で手に入れた小学生向け漢和辞典です。
『例解小学漢字辞典』第三版/林四郎,大村はま 編[三省堂](2005年1刷)
またも三省堂! 別に三省堂が好きとか、そういうわけではないんですが。たまたま。
現在の最新版は2015年に出た第五版です。第五版での親字は約3,200字。うん、やっぱり大人向けに比べるととっても少ないですね。でも三省堂によると、小学生向け漢字辞典の中では最大級なんだそうです。
この漢和辞典でかっちょいいのは前書きです。以下抜粋引用。
漢字は中国で生まれた文字ですから、中国の知恵を秘めています。
漢字は日本で育った文字ですから、日本の文化を背負っています。
漢字は日本の現代の文字ですから、日本人の現代生活を支えています。
な、なるほど~。深いな!
そして実例を挙げながら分かりやすく引き方・使い方を解説。これは……分かりやすい! 大人向け辞書にも載せたほうが
さらにさらに。本文でも豊富なコラムが驚くほど充実! 小学生のうちからこんなん読めたら幸せだ~。
なかなか小学生に漢字辞典を買おうってご家庭は少ないだろうけど。これは小さいうちから読んで欲しい。
小学生向け辞書の使い勝手なんかは、小学生向け辞書同士で比べないとなかなか分からないので割愛ですが、本屋で見ると小学生向け漢字辞典もなかなか各出版社バラエティに富んでいます。
まぁ、買ってる人とか見たことないけど。ボソッ。
そんなこんなでたかぱしさんの漢和辞典(+α)計9冊でございます。漢和に限らなければ、他にも紹介したい辞書はありますが、さすがにそれはいつかの機会に回しましょう。
さて。ここまで読んで「結局どれがおすすめなんだ?」とお思いの方もいることでしょうから、ちょっとまとめてみますと。
それぞれ全部いいから全部買え。
以上、お付き合いありがとうございました☆
という感じで締めましたところ、本棚から「俺のことを忘れてねぇか……?」となんとも恨みがましい声が……。
いやいや、漢和辞典はこれで全部のはず。と思って見たら……あ、お前か。
漢和辞典ではないけれど、確かに君も漢字辞典だったな。というわけで、番外編をもう1冊!
『新編實用國語辭典』修訂版/陳國弘 編[建利書局](2012年)
ん? 国語辞典……? という感じですが。台湾で買ってきました、漢字辞典です。中は日本の漢和辞典と似た形式。部首ごとに親字をたてて、意味と例文を載せています。
最新版とか親字数とかの情報をちょっとネットで探してみたけど……建利書局の公式サイトが見つからん。とりあえず修訂版の前書きによると、親字約13,000字のようです。
ちなみにこの辞書、小中学生向け。さすが漢字の国ですね。そもそものレベルが高い。
定価は170元と書いてあります。台湾ドルなので、現在のレートで行くと……612円。ふふ、安い。
当時この定価で購入したかどうか記憶にはないですが、建利書局の情報を求めて調べてたら、ネットショップじゃ72元で売られてました。約260円。少年ジャンプ並かーい。
台湾旅行のときにふらりと入った本屋でなんとなく買った辞書(でも本格的な大人向け辞書は読めないだろうと、ちゃんと子供向けを選んで買ったんだぞ)です。その本屋さん、日本のマンガ(もちろん台湾中国語に翻訳された正規のやつ)がたくさんあって、……ちょっとオタク向けな雰囲気漂う本屋でした。台湾の本屋ってそれが普通なのか? 知らんけど。
ハイキュー2巻とこの辞書を持ってレジに行き、面倒だったので「ぷりーず」と投げやりに意味不明な言葉を放ったところ。レジ係の若いおにーちゃんがそわそわと「あ、日本人ですか?」って聞いてきました。あ、お前はオタクだな。と勝手なことを思いつつ「そーです」と答えて会話終了。なんかそわそわにやにやしてたおにーちゃん、愛想のない客でごめんよ。
辞書の話に戻ります。本文は台湾の中国語なので旧
まぁ漢籍という外国語を読むための漢漢辞書として活用しようかと思いつつ、本棚の肥やしになっています。ごめん。
以上で本当におしまいです。
こう改めてコレクションを見てみますと、あとは大修館の漢語林とか手に入れれば、ひとまず有名どころは一揃いになるんではないでしょうか。
そんなわけで、だれか漢語林を下さい(笑)
あと、新字源の改訂新版特装版と、最新版の漢字源が欲しいです。
【お知らせ】2023/8/25
公開の2018年から早五年。
最新の漢和辞典情報をお届けする
「勝手に漢和辞典アワード2023」
を現在絶賛(ごめん、うそ。読んでる人ほぼいない)連載中です。
https://kakuyomu.jp/works/16817330659917930195
このページの漢和辞典トークはまだまだ浅かった!
との後悔が募り、始めちゃいました。
新字源の改訂版と漢字源の最新である改定第六版ももちろん入ってます。
それ以外にも魅惑的な漢和辞典があれやこれや……
ぜひご覧ください。
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注1【売られる季節】ブッ〇オフに。
注2【四角號碼】しかくごうま。古い検字法。詳しくは「いいかげん四角號碼を説明せよ」を見てね ↓ ↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887256976/episodes/1177354054887260114
注3【漢和辞典】漢和辞典と国語辞典の違いなど、漢和辞典の基礎知識については「四角號碼を適当に説明してみる……つもりで漢和辞典を説明しちゃう」を見てね ↓ ↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887256976/episodes/1177354054887257559
注4【版と刷】辞書のバージョンを示すため、ちょっとイレギュラーな書き方をしました。版についている年は版の初版年(出版年)。かっこで示してあるのは、たかぱしの手許にある辞書の印刷年。みたいな。
注5【西っぽい】ときどき西とか東とか意味不明なことを言いだしますが、気にしないでください。
注6【親字】漢和辞典で見出しとして立てられている漢字。
注7【前小口】あるいは小口。背表紙と対極にある、開く側の背面。ここに色や階段でマークしたものが辞書のインデックス。
注8【藤堂先生】なんか盛り上がってますが、特に接点のない先生です。そもそもたかぱしが生まれる前に亡くなられています。勝手に親しげにするな、という感じです。
注9【初版】なんか盛り上がってますが、今回奥付を確認して初めて気づきました。古本屋では漢字源だったらなんでもいいやって適当に買いました。百円でした。
注10【ハンディ漢和辞典】B6判程度の、片手で持てるサイズの辞書がハンディ。他にさらに小型なポケットと、大型で机の上で開くことを想定したデスクトップ(机上版)がある。ちなみに国語辞典で有名な広辞苑は、デスクトップとハンディの中間という非常に微妙なサイズ感なのだが、ハンディよりはすごいがデスクトップほどには邪魔にならないという一般家庭事情を上手いこと突いて売れた。
注11【文字数が多いのは強み】漢籍読むならな。一般に使わないような漢字が大量に載っていても、普通は邪魔。
注12【キャッチコピー】今回知ったのだが、新字源と漢字源の各出版社サイト紹介ページへの力の入れ様は、異常。
注13【民俗的】あるいは、呪術的とか宗教的、と評される。
注14【高い】『新訂 字統』18,000円、『新訂 字訓』18,000円、『字通』21,905円。いずれも税抜。わぁお。普及版だともうちっと安いが……。
注15【金八先生っぽい】そういう事実はない。
注16【字音解説がすごい】だけではなく、漢字の成り立ち解説が説文解字の引用でもあります。
注17【中古代の音を表記してる辞書はそうない】といいつつ、我らが角川新字源改訂新版には備わってるんだぜ。
注18【大漢和】日本が世界に誇る大漢字辞典。大修館書店の大漢和辞典全15巻、定価24万円也。親字5万字、熟語53万語! これだけでご飯がいける。
注19【三省堂の情報が分かりにくい】サイトの辞書紹介ページにいまいちやる気が感じられない。いや、新字源と漢字源がおかしいのかもしれないけど。
注20【赤と緑の対照的なパッケージ】赤の新明解国語辞典と緑の新明解漢和辞典。しかし、新明解国語辞典には特装版の青パッケージも存在する。
注21【名詩百選】言うまでもないとは思うけど、漢詩だよ。
注22【大人向け辞書にも載せたい】と言いつつ、最新版の漢和辞典の多くは実に親切な凡例やら説明を載せています。読む価値あり!
注23【旧字体】繁体字ね。
注24 よくこんなところまで読んだな、君! 褒めてつかわすから、ちょっとこの下の応援ボタン押してけよ?
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