閉じられた不死の幻想

とても魅力的な幻想短編です。

舞台は閉塞した谷底の町。「僕」こと沙門と、その兄の赤名が化け物を追い山に入っていくところから物語は進んでいくのですが……。

想像を掻き立てる静かな一人称単視点の文体、それでいて、邂逅する少女と呼応するようにやり取りされる会話部分は軽やか。緩急があって重苦しくなり過ぎず、しかし軽薄にもならず、読みやすい。古日本めいた町の情景描写に引き込まれつつ、夢の中を彷徨うような怪奇的臨場感が素晴らしいです。

後に引くような読後感が絶妙。
おススメです!

その他のおすすめレビュー

カクレナさんの他のおすすめレビュー465