エピローグ
ここはへいげん。普段は、ライオンやヘラジカが合戦に使っている場所である。
しかし、今日はライオン軍もヘラジカ軍も、その他のちほーのフレンズも仲良く輪を作っていた。
その中心にいるのは、タイリクオオカミ。
自分の漫画を、紙芝居のように読み聞かせしているのだ。彼女の作品、ホラー探偵ギロギロは文字がない作品である。そのため、こうして読み聞かせられることで楽しむことができるのだ。時々、図書館に保存されている過去作を自分なりに解釈して読み進めるフレンズもいるが。
「今日のお話はここまで」
そう言って、パタンと本を閉じるオオカミ。周りから、ぱちぱちと拍手が起きてみんな口々に感想を飛ばす。
もちろん、その輪の中にはアミメキリンもいた。熱烈な声援を飛ばしている。
拍手もおさまって、オオカミが観客達に礼を言う。そこでみんな立ち上がり、それぞれ立ち去ろうとする・・・のが、いつもの流れ。しかし、今日は違った。
「さて・・・でもみんな少し待っておくれ?私の話はここまでだけど、今日はまだ続きがあるんだ」
唐突なその言葉に、全員が静まって円の中心にいるオオカミを見つめる。
「先日、素敵なファンアートをいただいてね?せっかくだから、こうしてギロギロを見に来てくれる君たちにも楽しんで欲しいんだ」
ざわつく客席。うるさいほどだが、そんなものなど聞こえていないフレンズが一人。
控えめな耳と角、元動物にそっくりな柄のマフラー。漫画家タイリクオオカミの大ファンのフレンズ。
「おいで、キリン」
オオカミがこちらを見てそう言ったのが、ハッキリと聞き取れた。
気がついたら、さっき自分も混じってしていたはずの盛大な拍手に包まれていた。同じく、自分が飛ばしたような感想や声援が沢山投げかけられてくる。
手には、昨日書いた自分の小説。オオカミに教わりながら書いた、それだ。
「おもしろかったよー!」「またやってー!」
そんな声が聞こえる。
ふと横を見ると、にこりと笑ったオオカミがいた。
「どうだいキリン、創作って楽しいだろう?」
「・・・はい!」
そう答えると、さっきまでの記憶が鮮明に蘇ってきた。オオカミのように、輪の中心で読み聞かせをしたのだ。その結果が、今。
(二次創作、やってみてよかった!)
そう、再実感する。
そして、次のことを思い立つ。
アミメキリン。彼女は行動力の実に高いフレンズだ。この時も例外なく、すぐ行動に起こした。
「あの、みんな!」
拍手、歓声が止む。
「私の、これ・・・二次創作っていうの!すっごく楽しいしいから、みんなもやってみたらいいと思うわ!」
「「「・・・」」」
キリンの言葉に、一同沈黙。
まずいことを言ってしまったかと、キリンが不安な表情を見せたその瞬間。
「わたしやってみたい!」「やりかたおしえてー!」
ワーワーと観客が騒ぎ出す。キリンはその反響にきょとんとしていると、横でオオカミがくつくつと笑いだした。
「面白いじゃないか?こうやって、輪が広がっていくのは」
輪が狭くなり、キリンは多くのフレンズに質問攻めにされていた。
その中心で、彼女はまた思う。
(二次創作、やってみてよかった!!)
オオカミ先生による、二次創作のススメ 七戸寧子 / 栗饅頭 @kurimanzyuu
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