第3話
手刀の形にしたアームで敵の脳を突き刺す。
影からでてきたやつを蹴り飛ばし逆袈裟に切り上げる。離れた敵に起爆刀を投げつけ爆散させ、1度後退して伸びてきた戦線をひとまとめにする。
殺す。感情のない機械のように、戦闘に酔いしれる狂戦士のように、戦いに生きる強者のように。
ただただ殺す、殺戮の極みを極め、破壊の限りを撒き散らす。
その先にあるはずの、少しばかりの平穏を求めて、、、
無くならないと信じていた仲間との時間を求めて、、、
―周囲の敵性反応の消滅を確認しました。―
「終わったか?」
アキレウスの問いに俺は頷く。
「終わりだ、レーダー類にも映ってないし遠くの方で感じるだけだ、」
遠くから近づいてくる機体の音が聞こえる。
「カルマ、なんか変じゃなかったか?」
ジークがカルマに言った。
「確かに数の割には攻めてくる感じが少しばかりなかった気がするけど、楽できたんだしよかったんじゃない?」
カルマの返事に俺は違和感を覚えた、
奴らの脳は高性能AIとほぼ変わらない。なのに何故カルマはこう感じたのか、
胸騒ぎを感じ、部隊全員と生き残った仲間達全員に通信を入れる。
「全機帰投準備、回収班に回収されたくなきゃさっさと動け!」
「どうしたゼウス?珍しいじゃないか、お前から動くなんて、いつもは俺かカルマにせっつかれてたのに」
ジークのからかいにもあまり気をかけていられない程に嫌な感じがしていた。
「全員聞こえるな、嫌な予感がする。早く戻った方がいい」
え?と部隊全員が異口同音に言う。
「やめてよゼウス、そういうのって誰のであろうと結構当たるんだから」
「お前のそういう予感って今までに外れたことないんじゃねーの?」
「やめてくれんかゼウス、そういうのはなにであれ縁起が悪い」
全員から突っ込みがはいるが、そんなに気にしていられなかった。
「とにかく行こう、何も無ければ何も無いで早く休めるんだから」
重い空気をまといつつ基地に帰ると、そこには
何も無かった。
頭の硬い堅物共の研究棟も、不味い飯しか出さない給仕棟も、寝たり遊んだり、仲間との時間を楽しめる唯一の場所だった兵舎も、
機体の整備をする兵器棟ですら無くなっていた。
救いと言っていいのか、唯一の希望は死者がそんなにいる訳では無いことと、堅物共がその死者の大半だった事である。
「エンさん!何があったんだ!!」
無事そうな人の中から信頼できる人を見つけ、少し安心する。
「ゼウスか、見ての通りだ。対空兵器が弱っちいのをいいことに
「飛行型!?おいおい、さっき装甲型とやりあってきたばっかだぞ?そんなにポンポン新型出してくんなよ」
「ジーク、、、ということは全員いるのか、なら良かった。ゼウス、この通り〈悪魔の隣〉は壊滅した、もう下がるしかないかもしれん、じゃが本部の奴らは下がることを許さんじゃろう、こんなことがあったんじゃ。どこかに逃げたらどうじゃ」
子供を戦場に出したくないという気持ちからか、優しく語りかけて来てくれる。
でも、無理だということは分かりきっていた。
「無理ですよ。奴らのせいで他の国が生きているかも分からない、本土に戻れば絶対に捕まる。それに、俺達にはもうここしか残ってないですから」
他の奴らも同じ考えのようだった、
見回すと全員頷き返してくれる。
「そんなことよりこの状況をどうにかしましょう。1ヶ月に3〜5回だった襲撃サイクルもほんとかどうか怪しくなってきた。明日、奴らが襲ってこないという保証はもうなくなりつつある。俺たち兵士だけで戦闘は何とかなるとして、戻ってくる場所がなければどうにも出来ない。仮拠点でも作らないと」
俺の提案にエンさんも渋々うなづいた。
「そうじゃな、兵舎等の再建はワシが担当しとこう、悪いが機体の整備は自分自身でしてくれ」
「分かりました。お願いします、エンさん。こっちもなるべく頑張ってみますので」
別れて行動を開始する。
幸いなことに、恐れていた敵襲もなく事はスムーズに進んでいった。
大規模戦闘《レギオンレイド》 ラッチェ・バム @vocaloid
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