~エピローグ~

 人と人の想いが奇跡を生む瞬間を私はこれまでに幾つも目撃してきた。

 そのどれもが私たちの想像を超え、心に深く刻まれたものだった。

 一つ言えるのは、奇跡そのものを起こすのは神様でも、仏様でもなく、人だということだ。私たちにできることは、そこに至るためのほんの小さな手助けに過ぎない。

オーナーは以前、こう言っていた。


「どんな人生にも、必ず一つはドラマがある」と。


 私はこの言葉に深く共感している。


 そして、今もまた一人、この店にある人物が足を踏み入れようとしている。


 今日はアメリカのニューヨーク。明日はフランスのパリでまた別の人をこの店に導き、そして新たな奇跡の手伝いをする。うちのオーナーは相変わらず人使いが荒い。

 入り口のドアがゆっくりと開く。そう、新たなドラマの始まりを告げる扉が。

 私はいつも通り、バーカウンターの向こう側から、その客人を迎え入れる。

「バーエタニティーへようこそ」と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

BAR eternityの奇跡 冬野 俊 @satukisou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る