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    >窓に霜がつくのは想像です。
    !!
    なんと、左様でしたか……。

    ・3機編隊
     おっしゃるっとおり、BOB期間中であれば1個小隊3機が緊密なV字編隊が基本だったと思います。2×2機の緩い編隊が主流になったのはBOBより後のようです。
     どこかに編隊に関する記述があったなと思って読み直してみたのですが、レヴューでも挙げた本、リチャード・ハウ&デニス・リチャーズ『バトル・オブ・ブリテン イギリスを守った空の決戦』河合裕訳,新潮文庫,1994年,549-553頁にありました。
     以下要点です。

     イギリス空軍はフランス戦線からBOBにかけて1個中隊12機を3機ごとの小隊4個に分けて運用していた。1個小隊は「各機の間隔が詰まった矢尻の形つまり倒立V型の編隊(俗にvicと言う)を組んで飛ぶ」のが基本だった。しかし「リーダーの直後に密着して飛んでいるため、各小隊の二番機と三番機は攻撃の瞬間に敵機に照準が合っていない場合が多く発生した。間隔の狭い編隊を維持することに神経を集中しているため、気が付かなかった敵戦闘機から不意打ちを受けることも起こった」
     この問題点はBOBのあいだ多くの飛行中隊で議論されることになるが、最終的に解決策となったのはドイツ空軍が実践していた戦法、四機編隊だった。
     「この四機編隊では各パイロットは開いた右手の指の爪の位置を占める。指の例で言えば、いちばん長い中指が一番機、人差し指が二番機であり、三番機と四番機は薬指と小指で左側の二機よりやや高い所を飛ぶ。左右二機ずつの編隊では、それぞれ外側のウィングマンはリーダーよりも高度を下げて、リーダーから見て自分の姿が太陽を隠さないようにする(太陽の方角が最も危険性が高い)。
     この間隔の開いた隊形によって、約二百メートルずつ離れている各戦闘機は行動について完全な柔軟性を与えられ、敵機を早期に発見するチャンスも最大限に活用できる。戦闘を行う際には、この群れは二機ずつの部分に分離して、それぞれの一番機が攻撃の主力となり二番機が背後を守る役を務める」
     BOB終盤になってイギリス空軍では第501および第605飛行中隊が自主的にこの「フィンガー・フォー」隊形を取り入れていたし、1940年7月には空軍省の空戦技術部および空戦戦技開発部隊も推奨し、8月にはパーク司令(K.R.パーク空軍少将・第11飛行群司令)も正式に承認、11月には強く支持するようになったが、ヒュー・ダウディング(戦闘機軍団最高司令官・空軍大将)が反対していたため、彼の退任(1940年11月25日)までは一般的に採用されることはなかった。

     と、こんな感じです。要はRAFもロッテ・シュヴァルムを取り入れるのですが、40年11月末以降ということのようです。
     この本の劇中(?)にもスピットファイアやハリケーンはだいたい3機単位で登場します。

     ハリケーンについてですが、BOB期間中ずっと3機編隊(vic)だったという証言もあります。
    http://www.airbattle.co.uk/b_research_1.html
    (中ほどやや下、Q:Most squadrons used Fighting Area Attacks ~のところ。)
     
     時期については言及がないですが、以下のページにも記述があります。
    http://ktymtskz.my.coocan.jp/E/EU5/fire7.htm#8
    (「16 空中戦は四機編隊で」の部分。このページ自体は、ジョン・ベダー『スピットファイア 英国を救った戦闘機』山本親雄訳,サンケイ新聞出版局,1971年を写したもののようです。)


    ・ジグザグタキシング
     上の編隊の記述を探していてたまたま見つけたのですが、テストパイロットのジェフリー・クウィルが1936年3月にスピットファイア試作機に乗った時の証言が引用されていました。以下引用です。
    「[J・サマーズによる3月6日の初飛行ののち]それから一、二週間あとに、ジェフリー・クウィルが試作機を飛ばした。こんどは初めて高ピッチの固定ピッチ・プロペラが装着されていた。操縦席に身体を沈めながら、座席は狭い感じだが窮屈というほどではないなと彼は思った。シートをアップのポジションにすると頭の上にほとんど隙間がなくなるのにも気がついた。『予めマーリンには慎重に燃料を吸わせておいたから、一発で始動した。飛行場の北西の端に向かって走り始める……こんなに鼻先の長い戦闘機には乗ったことがなかった……だから、ゆっくりジグザグのコースを取って、前の方に何も邪魔ものがないのを確かめながら走った』」
    (ハウ&リチャーズ,1994,pp.73.)
     という、タキシングはもとより滑走中もジグザグしてるような感じです。


    ・ノーマンの出自
     ノーマンやカミルの過去の話は全く魅入ってしまっていたのですが、考えてみると確かに英連邦の人々がどういったプロセスでRAFに参加していたのか気になるところです。
     どうやらBritish Commonwealth Air Training Planと、それに基づく Empire Air Training Schemeという教育プログラムがあるようで、ウィキペディアでオーストラリアの空軍基地の歴史などを見ていると、RAAFでもこれに合わせて施設整備を進めたらしいことはわかるのですが、前者の合意が39年12月、後者のプログラムの実施が40年4月からのようで、ノーマンのようなそれ以前の志願者たちがどういう手続きでイギリスに渡ったのか、ちょっと検索にかけただけではわかりませんでした。
     奥が深いです……。


     すでにご存じのこともあるかと思いますし、最後の一点に関しては僕も全く知識不足ですが、参考になるところがあれば幸いです。
     長文失礼しました。

    作者からの返信

    前河さま

    補足まで読んでいただき、また、丁寧なコメントもいただきありがとうございます。

    英空軍の小隊編成はArther Gerald Donahue : Tally-Ho! Yankee in a Spitfireを読むと12月に1個小隊4機とありますので、やはり1940年11月ごろから本格導入のようです。

    この本は戦時中の出版なのでロッテ-シュヴァルムの説明はないのですが。

    日本も英軍も3機編成のときは編隊が乱れて個々に敵と戦うことになることが多く、敵は2機・2機で連携していたために被害の増大につながっていたようです。特に日本は無線電話があまり通じなかったのでなおさら。

    しかしBOBの功労者ダウディングが反対していたとは不思議ですね。偉い人の気持ち次第で戦争というのはずいぶん大きく動くものだと思いました。

    英連邦のパイロット養成について詳しく調べていただきありがとうございます。

    私の方は機体の性能や操縦はどうするか、は興味が湧くのですが、組織をどう構成するか、人をどう育成するかという方面はなかなか疎く、軍事物を書くときにどうしてもそこから逃げようとしてしまいがちです。

    オーストラリアについては本当に資料がなくて、手元にあるのはなぜかニュージーランドのパイロットの資料ばかりという状況です(でも不思議とオーストラリアにしたいと思いました)。

    ジョニイ・ホウルトン:『戦うスピットファイア』によりますと、ニュージーランドでは1937年に初級訓練が現地で行われるようになったとあります。それ以前は候補生が個々に英軍に入隊して、英国で訓練を受けるという状況だったようです。

    おそらくノーマンの場合は英国に渡ってから初級訓練ではという推測でいます。士官候補生で英国に渡り、戦時の急速育成で軍曹として任官、とか想像を膨らませていますが、それがどこまでリアリティがあるのかは今後調べてゆきたいと思います。

    ニュージーランドといえばデズモンド・スコット:『英仏海峡の空戦』という本があり、こちらで1スコードロンを3個シュヴァルムとするか2個シュヴァルムとするか、といった話がありました。1943年のタイフーンの航空団の話です。戦闘爆撃機としては2個シュヴァルム8機でスコードロンを編成するのが指揮しやすかったとのことです。

    次作もまた第二次世界大戦にしようかと思い、実は今いろいろ調べているところです。こんどは特定の戦記からエピソードを拝借するのではなく、もう少しオリジナリティを出してゆければと考えています。

    新作を投稿できるまでもう少しかかると思いますが、もしよろしければ、新作ができた時はちらっとでも見ていただけますと幸いです。

    よろしくお願いいたします。

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  • 編集済

    あとがきへの応援コメント

     読了です。
     改めて「あとがき」を読んで、非常に深慮してこの作品を書かれたのだと感じ入っております。
     カミルのポーランドからの転戦、ノーマンのオーストラリアでの遊覧飛行など、4人それぞれのバックボーンもよく練られていますよね。

     修正に関してのお話をされていたので、カクヨム規定的にはグレーかもしれませんが2点だけ指摘を伝えさせてください。

     まず第3話後半、「空軍の制服を着た4人、……」という一文ですが、フレッドとトーマスの名前が入れ替わってしまっているように思われます。確認お願いします。

     あとこれは微妙なもので、第11話のJu88登場シーンに「ハインケルより大型だ」とあるのですが、Ju88とHe111の機体規模の比較であればHe111の方が寸法的には一回り、全幅、全長とも2mくらいずつ大きいですね……。
     ただ、パイロットの目から見た飛行機の大きさというのは機種ごとの機体のプロポーションなどによってもずいぶん変わってくると思います。実際ユンカースの方が大きく見えたという証言があるなら、それは否定のしようがないのですが……。

    2019年5月18日追記:
    返信ありがとうございます。

    第3話について、以下の一文です。

    「空軍の制服を着た4人、飛行隊長と、ノーマンと、フレッドと、カミル少尉。彼らは雨に濡れるのもかまわず、黙って背を伸ばし敬礼を続けた。」

     すでに死亡して棺に入っているはずのフレッドが立っているのはおかしいのではないか。
    「ノーマンと、トーマスと、カミル少尉。」の間違いではないか。
     という疑問・指摘でした。
     言葉足らずで申し訳ありません。
     アリスが馴れ馴れしいトーマスよりノーマンに好感を抱いているのも十分伝わってきますし、小隊の序列で並んでいるのも頷けますのでご安心を!

    作者からの返信

    前河さま。

    応援及びレビュー記事をいただきありがとうございます。

    本作では、戦記物を何冊か読むうちに頭に積もってきたいくつかの事柄のうち、「戦争では前途有望な若者がたくさん死ぬ」ということを小説にできればと思い、書き進めてゆきました。最後はノーマン死亡というバッドエンドで考えていましたが、死亡フラグをきっちり立ててカミル死亡という展開にした後に、「もうこれ以上キャラを死亡させる必要はないのでは」と思い至り、最終的にあのようなまとめとなりました。

    解説文では私の意図を的確に掴んでいただき、本当に感謝感激であります。

    本文に関するご指摘ですが、第3話につきましては、アリス視点ではノーマンの印象がトーマスより良いことと、小隊編成でもノーマンが2番機、トーマスが3番機という順序であることも反映してその並びとしております。

    文章の流れとして違和感が出るようでしたら記述に不足がありますため、描写を再度確認し、必要であれば直してゆきたいと思います。

    第11話のHe111とJu88の大きさの件は、写真を見た印象と、Ju88がHe111の後継機という先入観から、思い込みで後者の方が大きいと書いてしまいました。後で確認してHe111の方が寸法が大きいということを知り、この約10%の差異をどうしたものかと少し悩んでいたところでした。

    パイロットの手記にはHe111とJu88の大きさを比較した記述はありません。ここは私の感覚がデータと違っていたという事項ですので、このままというのはやはりまずいかと感じております。

    形が相当違う飛行機ですので、印象の違いをもっとストレートに記した方がよいのではと考えています。いうなれば、He111は原型機からの修正が大きすぎて奇妙な形になった飛行機、Ju88はもっと素直に高性能を目指した飛行機です。このキャラクターの違いを分かりやすく表現したいと考えております。

    ----

    追記につきまして。

    た、大変すみませんでした。おっしゃるとおりです。先程訂正しました。

    ご指摘ありがとうございます。

    今まで気づきませんでした(汗)。

    なお余談ですが、3話についてですが、その後戦死したパイロットの葬儀の流れを他の本で読み、それをどう反映させるか考え中であります。参列者の敬礼の他に、
    ・墓地へのゆっくりとした行進
    ・小銃の空砲射撃
    ・ラッパの演奏
    が流儀とのことですが、話の流れ的にそこまで詳しく書けないので、「1940年夏の簡略化した手順」としてうまく落とし込めればと考えています。

    編集済
  • 第4話 スピットファイアへの応援コメント

    こんばんは!

    タリホーの意味がわかりました。

    描写できになる点なのですが、他の方のおっしゃる通り淡々としていて、知識がある人向けの専門用語がたくさん出てきて、幸い私はある程度の知識があったので読めましたが、初めての人にはあまりわからないと思うので、分かりやすい説明を入れた方がよろしいかと存じ上げます。

    作者からの返信

    ありがとうございます。
    「専門用語はどの程度まで読者に理解していただけるのか」はなかなか自分では分からないので悩みどころでした。
    一人称なので「話者が知らないことは書くことができない」という点も難しかったです(ドイツのロッテ−シュヴァルム等)。
    用語解説編を別途つける、読者を混乱させないよう情報を絞って話を始める、等で読みやすい、理解しやすいものを書いてみたいと考えております。
    よろしくお願いいたします。

  • 第2話 トーマスへの応援コメント

    フレッドが死んでいた、だと…驚愕の事実ですな。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。一人称なのに死ぬ、というサプライズを仕込ませていただきました。3話で一息つきますが、他は空中戦と申し訳程度のドラマパートという構成です。もしよろしければ続きもお読みください。

  • 第1話 フレッドへの応援コメント

    初めまして、鴉と申し上げます、ランキングから参りました(^^)

    ど直球の戦闘機ものですね、同じ戦闘機の作品を書くものとして仲間ができて嬉しい感じがします、最も私の場合は旧日本軍のものですが。

    主人公は生きているのでしょうか?かなり気になるラストです、こんなに描写が丁寧な空戦の作品はあまり無かったと思います、私が読んだ限りでは。

    続きを読ませていただきます、時間のあるときにでも。

    作者からの返信

    私も日本機大好きなのでいつか書いてみたいと思います。
    空戦ものは次作の構想を今練っているところで、資料に当たっています。
    こちらこそよろしくお願いいたします。

  • 第2話 トーマスへの応援コメント

    前回に引き続いて空戦シーン。
    やはり淡々とし過ぎている感はありましたが、情報に不足がなく、至極容易に空戦の様子を脳内で再現させる事が出来て良かったと思います。
    ただ前話でも述べましたが、読み手に知識がある事を前提に書かれているので、もう少し説明が必要かもしれません(主観です)。
    上から目線で申し訳ありませんが、続きを期待しております。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    飛行機が好きすぎて飛行場に行ったり写真を撮ったり絵を書いたり本を読んだりということに飽き足らず、小説も書き始めてしまいました。

    小説は本当に初心者で、読める文章になっているか不安だったのですが、むしろお褒めいただき、本当にありがたく思っております。

    専門用語などはご指摘の通り、ある程度知識がない人を置いていってしまう書き方となっておりました。単位換算はあえてしない方針ですが、それ以外は、読み進めていくと理解が進むような書き方ができればと考えております。

    年度末に入ってしまうためどの程度の頻度で続きを書いていけるか分からない状況ですが、少しずつでも調べながら書き進んでいこうと思います。

    よろしくお願いいたします。

  • 第1話 フレッドへの応援コメント

    空戦モノにしては少し淡々とし過ぎているかなぁと感じました。
    反面、初めて単独飛行した時の様子はとても生き生きして、単独飛行の感動が伝わってきました。専門用語や機体名が頻繁に出てきて、説明がほとんどないので読む人を選ぶと思います(解っている身としては面白いです)。