十年以上前の作品を、改めて世に出すということ。言うが易しだが、実行には勇気が要る。それを成し遂げる胆力。敢えて言えば、常人には出来ない覇業である。小説を書く者なら――否、創作に携わる者ならば、過去に出力した創作の巧拙について悩みし時がきっと来る。その時にこの小説の力強さを思い出して欲しい。この小説が成立した背景を臨めば、己が道に迷いし時きっと勇気が貰えると信じている。
筆者によれば、その時代の小説はキャラ募集という文化を掲示板で成立させたのだという。現代と比較し非常にアナログでありながら、ひとつの小説として成立させるという作業は、あまりにも困難で途方もないと推測できる。そうありながらも、今の時代――キャラクター性に比重を置いた、単純娯楽小説に通用するということに目を見張ることになるだろう。横書きの文化としては地続きであり、そのノウハウはカクヨムという媒体においても活かされている。今後もこの小説が魅せてくれる古き良き技量に期待するばかりである。
13年の時を経て復活した、傑作である。
伝承に曰く不死鳥は、香りの良い香木などを一箇所に集め、それで己の身体を燃やし、再び復活。死と再生を繰り返すと言う。
この作品はそんな逸話とは関係なく、とある狂信者達の撒いたガソリンによって燃え上がらせた結果再生した小説である。
キャラ募集という形態を持ってキャラを募り、それを小説に反映させると言う手法は古の昔のネット文化ではよく見られたそれであるが、今となっては懐かしい、しかし最近創作界隈に流入された方には少し目新しく思えるのではなかろうか?(募集場所がSNSやPixiv等の交流文化に変わっただけかも知れない)
決して凝る事はなく平易ながらも解りやすく、読みやすい文章はネット小説の手本とも言うべきもので、カクヨムの形態に適しているように思える。
それでいてこの手のキャラ募集に参加した参加者達にはあると嬉しい戦闘描写もスッキリとしていながらわかりやすく、大変好感が持てる。
今後に期待したい小説であると思いました。