姫宮の復讐
キンコーン。
教室に終礼のチャイムが響き渡る。
クラス委員長が指示する。
「起立!」
俺は渋々立ち上がる。
「気を付け、礼!」
「「ありがとうございました」」
―—俺は早々に帰る準備を済ませていたため、まだ誰もいない下駄箱に到着していた。
俺はポケットからイヤホンを取り出し、耳につける。
時刻は4時。
今から帰ったら到着するのは40分ぐらいだろうか。
風呂食事洗濯に1時間、
「はあ…」
憂鬱だ。
これだから学校は嫌なんだ。
9時スタートってことは、たったの7時間しかランクに行けない。
休日であれば10時間でも少ないくらいなのに。
睡眠時間は最高6時間、最低4時間が自分ルールとして定まっているので8時間やってしまうと睡眠時間が3時間しか取れなくなるのでそれはまずい。
規則正しい生活大事です(棒読み)
携帯がピコンと鳴る。
間違いなく誰かからのラインメッセージだろう。
俺はイヤホンを外しポケットにしまう。
携帯を見ない。
なぜならその鳴り方は姫宮とアモンのメッセージに設定しているからだ。
監督からのメッセージを意味する暗めのオーケストラ音ならすぐに出るのだが、何の用かは知らないが今は早く変えることが最優先。
俺はそう思い姫宮のアパートの前を通り過ぎようとした瞬間、曲がり角に待ち伏せしていたジャージ姿の細身の人物から大上段狙いで蹴りが飛んでくる。
俺は呼吸音でその存在に気づいていたため蹴りを視認する前から走る速度を減衰させて重心を後ろに移していた。
普通に見ると異様な動きで急停止し、まるで慣性を無視したかのようにバックステップする。
目の前を鋭い蹴りがすぎる。
そこに誰かがいることはわかっていたがまさか蹴りを入れてくるとは少ししか思っていなかったので驚いた。
「姫宮!毎回それほんとに危ないからやめろって言ってるよなあ!?」
「相変わらず気持ち悪い動き。危ないからやめろ?蹴られるようなことしてるアンタが悪いんじゃない。しかも当たってないから未遂だし」
「じゃあお前
「は?そんなの殺される前に殺すに決まってるでしょ?」
「決まってるでしょじゃねえ!お前のやってることそいつとあんまり変わんねえじゃねえか!」
「私は大義名分があってやってるの!そんなクソ雑魚TKキッズと一緒にしないでもらえる?」
「ハッ!残念だったな!少なくとも最近は煽りプレイどころかクソエイムすら起こしてませんー!お前の大義なんてどこにも…」
そこで思い出した。
俺は無言で視線を姫宮の胸に動かす。
姫宮も無言で再度蹴りを繰り出す。
俺は潔く裁きを受けようと思ったのだが、生存本能だけで回避する。
「どうしてっ!避けるのっ、よ!」
二度三度と蹴りが繰り出される。
「本当にごめんなさい。マジでごめんなさい。許してください何でもますから」
こちらも対抗するようにネタを挟みながら二度三度謝罪を繰り出す。
笑って許してもらおうという魂胆なのだが、逆に火に油を注いだようで、
「ネタを使って謝罪してる時点で反省が見えない!」
俺はこの後、1時間にわたり逃げ続けた。
eスポーツの神童 コークミルク @airas1218
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