言葉が出ません。はっきり言って、他の作品とは現実味が違いすぎます。いわゆるなろう系が『空想を楽しむ小説』なら、こちらの異世界ファンタジーは、『現実感で殴ってくる』小説といえるでしょう。細かい描写、人間模様。そのすべてがリアリティーそのもの。この繊細な世界に、貴方も溺れてみませんか?
異世界転移ものを読むひとの多くは、現実とは世界へ行って、常識やしがらみから外れてまっさらになってみたいという、ある種の開放感を求めて読み始めると思います。が、この作品は、そこへ真っ正面から切り込み、異世界へ飛んだ先の絶望や閉塞感を描いていきます。異世界に食傷気味、転移のご都合主義に疲れた人が読むと、「ああ、これこれ! よく言ってくれた!」って感じになると思います、
ライトノベルで例えるところの主人公が最強というお約束な展開はなく、ひたすらシビアで主人公が思考を巡らせて目の前の問題を解決していこうとするリアリティの部分が読んでいて面白い作品です。今後もじっくりと読ませていただきます(^^ゞ
冒頭で異世界というものについて淡々と語っていところが斬新で良かったです。描写もしっかりとしていて読みやすかったです。
異世界転移。この現象が起こったとなれば、転移の際にチート無双の力が備わったとか、謎のチャームでハーレムだとか、そういう要素がついてくるイメージですが、そういうものは一切ゼロで、世界に転移されてからの向き合い方がいろいろ書かれてます。主人公にとっては受難ですが、どのように打破されていくか、これからの楽しみとさせていただきます。