暗殺者の血脈

まてりあ

第1話

 私は生まれたときから暗殺者としての宿命を背負わされている。

 先祖代々暗殺を生業にしていたからというのもあるが、むしろ本能に刻まれている感覚に近い。

 地球上に巣くう害虫どもを殺せ…この言葉が脳裏に浮かび、実行しなければならないという衝動に駆られる。


 額から汗がにじむほど強い日差しが照り付ける夕方。私は人がたくさんいる公園へやってきた。

 草むらに隠れ様子をうかがう。

 あの言葉が再び脳裏に浮かぶ。

 標的は定まった。

 私は暗殺術の一つ、<隠>渦翅を発動させ一気に間合いを詰める。

 (しまった、音に気付かれたか!?)いや、気付かれてはいない。

 私は胸をなでおろし、標的の背後をとり暗殺術の一つ、<刺>口吻を発動させ一気にのど元へ突き刺した。

 と、同時に<毒>魔羅莉愛を注入。

 (よし、うまくいった。)不敵な笑みを浮かべ満足していたその時、巨大な物体が頭上から振り下ろされた。

 (あぶない!!)私は間一髪それをかわす。<隠>渦翅を発動させたのは言うまでもない。

 私に落ち度はなかったが相手の感が鋭かったのだろう。

 すぐさま草むらに隠れ難を逃れた。

「ふふ、毒の潜伏期間は一週間、せいぜい残りの人生を楽しめ」


 私は次の標的に狙いを定めた。


 World's Deadliest Animals(ビル&メリンダゲイツ財団)の2016年度版によると、蚊によって年間83万人殺されている。

 WHOのマラリアレポートによると、年間43万人が亡くなっている。

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