当レビュー筆者は異能力バトルものはあまり読んだことがないが、ここまで世界観を作りこむのは当たり前なのだろうか? 構築力が、世界観の密度が、高いというか、濃い。政府の思惑、不気味な一族、いまだ力のすべてを解き放ったとはいえない能力者たち。そしてまだまだ壮大な戦いへの序章という位置付けの本作。個人的には、続編はまた違う主人公の観点からの話になるのかもしれないが、クセがいくつもあるキャラクターたちの中で鋼太郎が今後どうしていくのか、非常に気になってしまう。異能力バトルのみならず「小説世界の作りこみ」「物語の壮大性」に惹かれる方にも、興味深いかと思われる。
重力系能力者の主人公は高校で、久しぶりに親友と再会する。
しかし、その親友は主人公に対して釣れない態度を取り、主人公は困惑する。どうやら親友は、主人公のことを覚えていないらしい。つまり、記憶喪失だった。
そんな主人公と親友の周りには、異能力者たちの影がちらつく。
何故、親友は記憶を失ったのか。
異能力者たちの目的は何なのか。
そして明らかにされる主人公出生の秘密と、ある家系の存在。
派手な異能力バトルと言うよりも、ダークミステリーの風合いが強い。
謎に満ちた異能力者たちの世界に、足を踏み入れてみて下さい。
是非、御一読下さい。