ゴキブリの駆逐

不倶戴天ふぐたいてんの敵、ゴキブリを殲滅せんめつせんと吾輩はの一生を奉ずる決心をした。人間様に許可もなくの居住に上がり込み、物陰に隠れて繁殖するさま、卑劣ひれつの極みである。

吾輩は生物兵器「ゴキキャップ」を複数箇所に設置し、また奴らの侵入経路である下水道に「パイプハイター」をこれでもかと流し込んでやった。


奴らはカニバリズムをたしなむという。その倫理にもとることが禍根かこんとなり、奴らは「ゴキキャップ」によって毒付けされた同胞を食らう。

そうしてしかばねになれば、カニバリスト達がまたその屍を食らい、それがループとなって次々に死んでいく。ざまを見ろと吾輩はほくそ笑んだ。


これを不殺生といい非難する者があるかもしれぬ。しかし、生き物をあやめるという不道徳は、の生き物が不道徳であれば不道徳とはならないのだ。それは警官が殺人鬼を射殺しても罪にならないのと同様のことである。したがって、ゴキブリを殺す正当性は証明された。

その証明によってゴキブリを殺すことは非難どころか正義にかなうことであり、吾輩の決心を貫徹するにあたり重要な道標みちしるべとなるものである。





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ごくらくとんぼ 八咫烏 @daikokuten9924

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