捜索のための捜索

サイド:狭間昇二


翌日、学校で空いている時間を狙い、暇そうな奴から片っ端から聞いていくが、今のところ収穫はゼロだ。


(うっへぇ、思った以上に見つからないわ)


昨日、路地裏に一瞬だけ出現した女子は愚か、妖怪の情報すらない。

ただでさえ何をやっているのか分からない謎会のメンバーとして認識されている上に、友人と呼べる人間が会長とロリコン守護神しかおらず、聞く度に何言ってんだこいつ、という視線を向けられ続けて最早心が折れそうである。


(もう諦めていいような気がしてきたそうだそんな気がしてきた諦めよう)


折れた。というよりは面倒になった。後は全部会長に任せようそうしよう。

そう思いながら黒板の前に立つ教師の話を子守唄に、静かに机に顔を伏せた。


叩 き 起 こ さ れ ま し た。







放課後、いつものように部室に集まり……


「でこれだよ」

「それ途中で寝たお前が言う?」


まさかだよ。まさか向こうも収穫/Zeroとは思わなかった……訳じゃないけど、ないけども…………。


「これはひどい」


会長は、教師達に聞いていたら気付いたら何か説教になっていたそうだ。

………お前、成績悪いもんな。


「まあ冷静に考えたら点数悪い奴が、妖怪見たことありますか?何て聞いて来たら、頭の病院なら少し遠くにあるよって言いたくなるわな」

「だぁまらっしゃい」


未だ机に顔を伏せて沈んでいる。それは決して収穫がなかったからではないだろう。事情が事情なだけに哀れだ。


「悦」

「うるざい」

「おいおい成績が悪くて気付いたら説教垂れられてた負け犬君が何てこと言うんだ」

「何て奴だ」


会長弄り楽しい。

実はこの会長、見た目が男の娘と呼ばれる属性二歩出前のような容姿をしていて、弄っていて何か楽しい。これがもしイケメンだったら、見てるだけで何か腹が立って来ていたことだろう。イケメン氏ね。

さて、そろそろ現実を見よう。始まるものも始まらないどころか、始まる前に詰んでるようなこの現実を。


「どうすんの会長、やめる何て選択肢はないんだろ?」

「ああそうさ。最早まじで気になって進むことも戻ることもできない」

「進めないのかよ」

「だってそうじゃん」


まあその通りで、ほぼ詰んでるのは確かである。


「掲示板は?」

「新しいの出てるよ、通勤中だって」

「で何で俺達の前には出ないんだよ」

「ほらあれじゃない?物欲センサー的な」

「ついに奴らは現実にまで影響を及ぼすようになったか………!」

「もしそうだったらオワタじゃん」

「わろえない、実にわろえない」


物欲センサーに勝てるのなんて会長位だろう。


「というかエンカ率に振れないの?」

「妖怪に会ったことがまずないから無理だね」


だめらしい。肝心なときにあんまり役に立たない男め。


「肝心なときにあんまり役に立たない男め。」

「え、何で心の中の傷付けることしかできないって分かってることを敢えて口に出すの?ねぇ何で?」

「それはあれだよワトソン君」

「唐突のワトソン君」

「私は事実を述べたまでさ」

「これを機に事実が人を傷付けることもあるということを知ってもらいたい」

「で妖怪の情報ゼロだけど、どうするの?」

「聞けや」


会長は椅子の上で足を抱え、体を前後に揺らしていた。

人間って現実逃避するとああいう考える必要のないことをひたすらやり続ける

よね。

取り敢えず現実逃避などさせないと言わんばかりに、会長の頭部に手刀が繰り出された。





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不思議研究会 潰れたスイッチ @155414

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