第1話「入学式③」
そこで争っていたのは2人の生徒だった。
「おい、テメェ人にぶつかっておきながら謝りもしないのはどういうことだ?」
「…そっちからぶつかってきたじゃん…」
そこには金髪で大柄の生徒と天理涼の姿があった。
「テメェ俺様を誰だと思っていやがる?」
「同じ新入生!」
「お前…この俺様と同等だと言いたいのか?」
「いや…明らかにそうでしょ?」
「ハッ、笑わせてくれるなクソガキのくせに」
「いや同い年やん」
「うるせぇなそんなのどうだっていいんだよ!」
「えー」
涼は金髪の生徒に呆れていた。
「仕方ないから俺様の身分を教えてやるから感謝しろよクソガキ」
「だから同い年やん…」
「俺様は才牙獣五だ!」
金髪の生徒はそう叫んだ。
「よろしくな獣五!」
「テメェ俺様に向かってタメ口なんていい度胸してんじゃねーか」
「だってお互い新入生同士やん」
涼の言葉に皆呆然とした。
「はぁ?何言ってんだテメェ?」
「え?違うの?」
「俺様はSクラスだぞ?」
「…Sクラスって何?」
「…………」
皆涼の言葉に驚きを隠せなかった。
「お前…本物のバカ野郎だな笑」
「?」
涼は獣五が何をそんなに威張っているのか全く分からなかった。
「本物のバカ野郎に特別に教えてやろう」
「俺には天理涼って立派な名前があるんだけど…」
「いいか、この学園にはな…」
「獣五のやつ人の話聞いてないやん…」
「魔力のランクに応じてクラス分けがされてるんだ。」
「へぇーそーなんだー」
「…へぇーってお前今まで知らなかったのか?」
「うん知らなかったドヤァ」
「…因みにお前はどのクラスなんだ?」
「俺?知らん」
皆が2人の会話を静かに聞いていた。
「クラス分けはパンフの中に書いてあるから今すぐ見ろ。」
獣五がそう答えると涼はパンフレットを開いた。
「…お、ちゃんとFクラスになってるやったね!」
「マスター…おめでとうございます♪」
涼とチーちゃんは喜んでいたが獣五は薄ら笑いをしていた。
「お前、Fクラスなんて"落ちこぼれ"しかいないクズの溜まり場みたいなとこだぞ?」
この学園は1学年ごとに全7クラスに分類されている。
S←A←B←C←D←E←Fの順に。
Sクラスが特に優秀な生徒が集められ、Fクラスにはもう成長の余地がない者、つまり"落ちこぼれ"しかいないクラスである。
皆、涼のクラスを聞くと笑っていた。
さらに中には涼のことを軽蔑したような目で見る者もいた。
「よくFクラスの分際で俺様に刃向かってきたな笑」
「てかクラスとか関係なくない?」
「は?」
「俺も獣五も今年に入ってきた仲間やん?」
涼の言葉に驚きを隠せないでいた。
「あのなぁ、SクラスとFクラスじゃ身分が違うんだよ?」
「え?チーちゃんそうなの?」
「マスター、チーには分かりません。」
「…話してても拉致があかないな」
そう言うと獣五は剣を取り出し涼に突きつけた。
「何すんだよ?」
「今ここで俺様とお前の身分の違いをはっきりさせてやるよ」
「はぁ…じゃあ俺が悪かったよごめんな。」
「は?テメェ逃げんのかよ?さすが落ちこぼれだな笑」
獣五のその言葉にチーちゃんは怒りをあらわにした。
「大人しく聞いてればマスターに向かってその言い様…今すぐ訂正するです。」
「なんだこの猫?うぜぇ」
獣五はチーちゃんに向かって刃を振り下ろした。
チーちゃんは避けきれずにその刃に切られた。
「…痛いです…」
刃はチーちゃんの背中に当たり傷になっていた。
「マスター…痛いです…グスッ」
チーちゃんは涼のもとにすぐ戻るやいなや抱きつきずっと泣いていた。
「はっ、さすが落ちこぼれ様の従者だな笑」
獣五は高らかに笑っていた。
「…れ…」
「は?」
「…や…れ…」
「聞こえねぇよ笑」
「今すぐチーちゃんに謝れって言ってんだ雑魚が!!!!」
涼がそう叫んだ瞬間、学園中に警報が鳴り響いた。
続く!
その英雄は「学園」に憧れる。 なーやん @neet_4649
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