お勧めの作品です

  • ★★★ Excellent!!!

 歯車が狂ったのはいつなのだろうか。
幼くして両親を亡くした少女の頼りは、四つ上の兄ただひとり。
彼は彼女と自分の食料を調達せねばならなかった。
12歳の彼にとって、それはまさに地獄そのものだったのだろう。
神経を擦り減らす過酷な状況のなか、必死にもがいて生きていた彼が、空腹で喚く彼女に怒りを表したのは、仕方のないことなのかもしれない。
このことが契機となって、兄妹の仲は徐々に、しかし確実に悪化していった。
果てに、憎しみ、殺しあうまでに。

文章で、物語の暗さが良く表されている。
なぜ殺しあう羽目になってしまったのか、そこまでの過程に浸かりながら話を読んでみると良いのかもしれない。
時折差し込まれる過去の描写がなんとも居た堪れない。
気になった方は是非読んでみて欲しい。

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