私と同じくファンタジーを読んだことない人に。素晴らしい作品です。

 この作品の素晴らしいところは、キャラクターの造形だと思います。それぞれのキャラクターが丁度良い魅力を持ち、無駄に輝きを見せていないので、「くどいな」と思うことはありませんでした。主人公が活躍するので読んでいて楽しい、というのもありますが、話の構造、キャラクター同士の関係性などのバランスが絶妙に保たれているのが、読んでいて楽しい、もっと読みたいと感じた一因だと思います。

 先に申しますが、望まないのであれば以降は読まないでください。私が抱いた、この作品の改善点です。お気を悪くされるかもしれないので。ネタバレも含みます




 まず、主人公が血を嫌わずに敵を斬っていくのに違和感を覚えました。幼少期に兄からの暴力を受けていれば、少なからず、自分から与える暴力に対しても嫌悪感を抱くものと思われます。それを短期間の修行、それも人間ではない獣を斬ることで、躊躇せずに人間を殺していくのは都合がいいのではないかと思います。
 次に、主人公が戦闘と周囲の人間以外に、全くと言っていいほど興味を示さない点です。もっと掘り下げれば作品の深み(?)が出るのに、という私の願望かもしれませんが、いささか主人公が戦闘狂すぎるように感じました。ネモに対して絶大な信頼と好意を寄せているとはいえ、もう少し戦闘に関連しない描写があってもいいのかな、と思います。その方が作品に緩急がつきますが、物語がハイスピードで進行していくのもこの作品の長所だと考えているので、その辺りは人の好みで分かれるかもしれません。

 高圧的な感想で申し訳ない。ですが、できるだけ率直な感想を記した心算です。またツイッターでリプでも何でも送っていただければ、作者様の作品を読んで感想を書きたいと思います。

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