人の下には死体が埋まっている

阿房饅頭

人の下には死体が埋まっている

人の中には死体が埋まっている。

何故なら、その人の連なりから、人は生まれていく。

幾十幾百幾千幾万幾億の血が流されていくのだろうか。

夜闇の中、ぬらぬらと揺れる中に赤い光が見える。

ネオンだろうか。

光の中、そこには虫がたかりつづけ、その小さな赤い血のような光にたまり続ける。浅ましき姿共。


ある時にコンビニのネオンを見つける。そこには雑誌が並び、女性の顔が笑みを浮かべながら我々を見つめているようだ。

そこに何かのパイナップルを置きたくなる。そいつが爆発すれば血が流れてしまうだろう。

そんなことを考える人間もどこかにいるのではなかろうか。

しかし、そんなコンビニも人のアイデアで作られ、そこまでにいくつもの技術革新と人の世代変わりがあり、死体が埋まった中でできている。

そんな中に行く私は醜悪なものではなかろうか。あのネオンの中にたかる虫と何ら変わりはない。

気にすることではなかろう。

人間は光に安心を覚え、闇におびえる。闇の中には本能的な恐怖があり、それを避ける為に人の技術は確信し、世代が変わり、そんな人の血の流れが、人の死体が埋まった上に私たちはいるのだ。


欲望とでもいえばよいのだろうか。本能といえばよいのだろうか。

ああ、外に出るとまだ赤いネオンに虫がたまり、そいつをぶちりと握りしめる。

何て簡単に命は潰せるのだろうか。何て私は簡単に残酷なことをできるのだろうか。虫だからか。

犬や猫は殺せるだろうか。

ああそれで人が救われるのであれば殺すのだろう。ただ今の常識や自分の感覚が許さないだけである。

人の枷は簡単に潰すことができる。

自分が死ぬかもと思えば簡単に潰せるし、欲望というものが買ってしまえばすぐに潰せてしまうだろう。


そして、そのために人は人を簡単に殺すことだって躊躇わない。

人の下には死体が埋まっているものなんて、簡単できてしまう。

自分を守るために人を解雇し、簡単にさようならさせる。

小さければいじめで人は簡単に死ぬ。


人の下には死体が埋まっている。


それは当たり前で、身近にある死体。

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