しめ縄の話

陽月

しめ縄の話

 注連縄しめなわ作りは、春に始まる。

 注連縄にする藁は、花が咲く前に刈り取った青藁。つまり、食べる分とは別に稲を育てる必要がある。

 注連縄用に籾を蒔き、田植えをする。

 夏、青々とした稲を刈る。一旦乾かして、保管しておく。


 飾りに、穂がついた状態のものを使う場合もある。この場合も、穂がついた状態なのだから、食べる分とは別である。

 もちろん、そこまでのこだわりがなければ、たべる用に収穫した分から、藁を用意する。


 実際にい始めるのは、量による。一日にできる量と、作らなければならない量に少し余裕を持たせて逆算すればいい。


 まずは、藁を柔らかくするために、叩く。

 しかし、力任せに叩けば良いというものではない。藁が痛んでしまう。

 岩の上にむしろを敷き、藁の束を置いて、木製の横槌よこづちで叩く。


 いくつか種類があるが、最も多くの場所に飾る、七五三と呼んでいる種類の注連縄の作り方を紹介しよう。

 まず、人差し指程度の太さになるよう藁をとり、根元をそろえる。

 そのうち一本を根元から 1〜2cm程度で束から分け、2・3周巻き付けて束を固定する。この固定に使った一本は、巻き付けた下をくぐらせて、束に合流させる。

 束を二つに分け、右手の親指以外と、左手の平で挟む。分けた片方が右手の指の付け根と左での手首側、もう片方が右手の指の先と左手の指の付け根付近で挟まれている。

 藁の根元を足で固定して、ちょうどピンと張れる位置を手で挟めばいい。

 左手を手前に引いて、挟まれた藁にりを加える。右手の平と左手の指に藁が挟まれるところまで左手を引いたら、右手の指を曲げ、指の付け根に来ている藁を押さえる。左手でもう一方をつかみ、右手と左手の前後位置を入れ替える。

 右手につかんだ方を右手の指の付け根と左手の平の手首側で挟む。左手につかんだ方は右手の指先と左手の指の付け根辺りで挟む。藁の位置は最初に戻る。繰り返せば、綯っていくことができる。

 10cm程度できたら、別に7本藁を用意して、根元をそろえる。

 本体の根元を右、穂先の方を左に置き、用意した7本の穂先側を手前から本体の上をまわして、根元側の右から手前に引き出す。根元側が20〜30cm程度本体から下がる形にする。

 穂先側を根元側の手前を横切らせて、本体の下から奥に回して、本体と合流させる。

 10cm程度綯い、今度は 5本の藁を、また10cm程度綯い、最後は 3本の藁を付ける。

 最後は穂先まで綯って、完成だ。

 時間的には、そんなに掛かるものではない。ただ、藁で手が荒れるため、一度に大量にできるものではない。


 裏白ウラジロやダイダイを取り付け、注連縄を飾る。

 七五三を飾るのは、神棚・門松・車庫・仏壇・荒神こうじんさん(台所の神様)だ。

 玄関はもう少し立派な太いものを用意する。

 もう一つ、おなかの部分を太くするウマという種類がある。これは、鯛の干物、裏白、ダイダイ、譲葉ゆずりは、松を取り付けて、恵比寿さんに飾る。


 正月が終わった後、どんど焼きで注連縄を燃やす。

 ただし、ウマだけは一年間そのまま飾っておく。翌年、どんど焼きで燃やすことに変わりはないのだが。

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しめ縄の話 陽月 @luceri

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