山門をくぐった先に待っていたのは――、辺獄。

 辺獄というあの世とこの世の境のような場所に、足を踏み入れてしまった女性主人公の物語。寺の墓に詣でて、いざ帰ろうとすると、山門をくぐるたびに永遠と続く墓地に出る。元の世界に帰れない?
 そんな疑問を持つ主人公のもとに、突如現れたのは寺の和尚だった。
 主人公は、ある「問い」を持っていた。しかしその問いには、和尚は答えることができない。そして、主人公のもとに現れる戦時中の青年。和尚に会いに来る「御嬢さん」。
 果たして主人公は「問い」を晴らして、現世に戻ることができるのか?
 そして、辺獄は、貴方の身近にもきっと、存在する。
 その時、貴方ならどうする?

 文章が香たつ、辺獄の物語。
 
 民俗学的な文学作品をお求めの方に、ささる作品だと思います。

 是非、是非、ご一読ください。

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