Working HoneyBee

陽月

Working HoneyBee

 籠もりjuvenileの期間を終え、重い扉を開く。

 それは、子供childから大人adultになるための、儀式の期間。


 私が出てくるのを待っていた者が告げる。まずは、女王陛下Königinに挨拶を。

 毎日毎日、何人も籠りを終えるのだから、女王陛下も大変。一日分、全員まとめてご挨拶。

 職務functionに励みなさい、陛下からのお言葉はそれだけ。


 私に与えられた仕事は子守nurse

 くる日もくる日も、子供たちに食事mealを運ぶ。けれど、私の子がここに加わることはない。私は未婚Mädchenのまま、生を終えることが決まっている。


 王宮palaceにいる男達Männerは、みんな女王陛下のもの。女王陛下のためだけの存在。

 けれど最近、ある男の子とが私たちの間で噂になっている。もう長らく、女王陛下に見向きもされていないその男。

 それならもういらないわよね。働きもせず食事だけは取る、それが許されているのは、女王陛下あってこそ。女王陛下が見向きもされないのなら……。

 そして、私たちは行動に出た。もう王宮には必要の無い存在を、追い出した。

 抵抗する彼を、数の力で無慈悲に。


 時が経ち、私は採取pickingの係になった。探索者searcherの見つけてきた場へ赴き、食料を王宮へを持って帰る。

 女王陛下のため、王宮の者達のため。ずっと貰ってきたのが、与える側になったのだ。


 そんなある日、女王陛下が全員を御前に呼ばれた。

 女王陛下のお言葉をいただけるのだと、私は心を躍らせた。

 けれど、陛下のお言葉は、思っていた類のものではなかった。手狭になったから、半数を連れて王宮を出られると。

 そして、ここからここまでと、簡単にご一緒する者と残る者を分けられた。

 翌日には、本当に半数だけをお供attendantsに、王宮を発たれた。


 私は、王宮に残された。全ては、女王陛下と陛下の王宮のためだったのに、陛下に選ばれることはなかった。

 陛下のおられない王宮なんて、何もない。私にはもう何もない。

 ただ、周りに流されて、採取に出かけるだけ。こういうのを虚無主義nihilismというのかしら。


 陛下が発たれて数日、ほら行くよと促され、採取に発とうとした時だった。敵襲enemy合図callとともに、緊張が走った。

 私たちの小さな武器weaponでは話にならない強大な敵。陛下と王宮を守らなければと、思って否定する。陛下はもうおられない。

 けれども、今ここにあれが来たということは、そういう流れって事なのよね。

 私は、この身を王宮を守るshieldにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Working HoneyBee 陽月 @luceri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ