『それが出来れば苦労しないわ!!』




 私が別枠で連載しているスターウルフの執筆に一区切りが付いたので、ついでに左利きのお話をしていこうと思う。

 と軽く宣伝臭いことを書いて、今回のお話をしよう。


 左利きの人間は、訓練をしないと右手で細かいことができない。

 それは右利きの人間が左手で字が書けないのと同じことだ。

 当たり前のことのようだが、右利きの人間にとってはそれが当たり前ではない。


 大抵の仕事場に置いてあるハサミ。それはほとんどが右利き用で用意されている。

 それだけではなく、例えば左側に尖ったお玉。改札口を通る時。カウンターで食事をする時。

 右利きのほうが有利な出来事は世の中には数多く存在する。


 それに不便に感じる私という左利きに、右利きの人間は当然のようにこう言う。


「右手でやれば?」


 そんなことをいう右利きに物申す。



『それが出来れば苦労しないわ!!』


 私という左利きには、右利き用の道具や設備は天敵だ。

 常日頃から使いづらい右手でやらなければいけない、もしくは左手で無理に押し込むしかない。などというシチュエーションは数多く存在する。

 私はそれを全てに対してストレスを抱えている。


 そういうわけで、私は何度か右手で出来ることを増やそうと訓練を自己流でやったことがある。

 箸を右手で持って何かを掴んだり、シャーペンを右手で持って何かを書いたり、右手で調理器具を使ってみたりもした。(包丁だけは危ないので左手で)

 しかし、私はそれら全てを挫折で終わらせている。


 私という左利きは、右手で何かをするというだけで多少のストレスを感じてしまう。

 特に普段左手でやっていることを右手でやるときなど顕著だ。


 だから私は尊敬する。

 右手で食事を取る左利きを。右手で文字を書く左利きを。

 話に聞くだけで本当に羨ましく、そして尊敬の目で私は見つめる。

 この感覚は右利きの人間には絶対にわからない感覚だ。


 それは私という左利きは当たり前のことなのだ。

 しかし、それを当たり前としない右利きは平然と「右手でやれば?」「右手できるようにすれば?」などと口にする。



 だからそれが出来れば苦労はしないの!!



 それを聞く度、私はイライラを募らせる。

 右利きの諸君。そういった発言は、左利きの者に気軽に口にするべきではないということをわかってほしい。

 なぜなら、私という左利きはそれをしたくても出来ずに挫折したのだから。


 いずれ、私も右手で何かを出来ることを夢見ながらそう思う。


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左利きの苦悶 尾裂狐 @osakiyudai

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