011 結成と初試合Ⅴ
「そうだな。平次の言う通り、やってみなければ何も始まらない。こういうのって宝くじや競馬と同じだろ? 買ってみなきゃ当たらないってね……」
穏やかそうな爽やか君・二年の
「いや、俺達はそういう博打とかできないからね。まだ、未成年なんだし、例えにも……ほら、ほかにもあるでしょ?」
おどおどとしながらお腹を押さえている最後の二年の先輩・
二年の三人がそれぞれ違ったタイプであることは一年全員が一週間のうちで相当思い知った。怒らせると怖い先輩、冷静だけど何を考えるのか分からない先輩、高身長だが弱気の先輩である。
この人たち、本当に大丈夫か……?
一成は少し不安を持ちながらグラウンドに目をやった。
去年の夏の
「なあ、古矢。夏ミカンは本当にこの試合がいい勝負になると思っているのか? あれはあれで、少しやり過ぎだと思うんだが……」
難しい顔をしながら、隼人が言った。
「俺に言われても……。だが、県内とやるよりもメリットはあると思うよ」
口ごもりながら答える。確かに一成の言う通り、県内のチームとやったところで手の内をばらしてしまったら意味がない。今日は練習試合でもあり、チーム力を試す場でもある。
だが……今日の練習試合で一点差でもいいから勝たないとだめだろうな。
相手は全国を経験している常連校。勝つ確率は低いが、だからと言って絶対に負けるとは言い切れない。どんな選手だって負ける時がある。やらなきゃ当たらない、宝くじと同じだ。
バッテリー ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ @kouta0525
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