僕と猫と私

春レタ

第1話 僕と猫

  猫がいなくなった。


 うちは両親と僕、猫の3人と1匹で住んでいる。

 僕には妹がいた。

 容姿端麗、成績優秀と僕とは正反対のスペックをしていて

 医者である両親は妹に病院を継がせようと必死だった。


 2年前、妹は失踪した。

 両親は僕のことをほったらかして毎日毎日探した。

 妹は見つからなかった。


 「いなくなるのがあいつだったらよかったのに」

 父のその言葉を聞いたとき僕はどんな顔をしていただろう。


 それ以来両親は僕に病院を継がせるため、必死だった。

 たぶん、いや絶対妹の代わりだった。

 僕もそんなことはわかっていた。

 そして、勉強だけをさせられた。

 しかし、僕の学力が伸びることはなかった。

 そして、問題が解けないと暴力をふられるようになった。

 毎日毎日暴力をふられ続けた。

 あざがひどかったため、中学にも行かせてもらえなかった。


 妹が失踪して1年位たったある日、

 うちに猫が来た。

 玄関前に倒れているのを母が見つけたらしい。

 母はその猫を飼いたがった。

 その年は僕の高校受験の年だった。

 そのため父は

「受験の年だし勉強の妨げになるから飼えない。」

 といったが、母はよほど飼いたかったらしく飼うことになった。

 その猫はどことなく妹に似ていた。

 両親はその猫に妹の名前をつけて、妹にそうであったように扱った。


 夜になるとその猫はきまって僕の布団の中に入ってくる。

 すりすりと頬をなでてくれるその時間だけが救いになった。

 猫が来てから、僕の学力は伸び始め

 殴られる回数も減った。


 ある日、問題が起こった


「猫がいなくなった。」






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