強大な魔力を持ち、人々から怖れられる元魔王が、笑いの力で世界を救う?!
意味わからんわ! いったい何の話してんねん!(エセ関西弁)
……と皆さん思うでしょう?
細かい説明は不要です。
とにかく腹が捩れるほど笑えます。
コメディの名手である狼煙さんの作品の中でも、特に卓越したお笑いのセンスが光る本作。
私が個人的に凄いと思うのは、スベるネタとウケるネタの書き分けがなされているということ。
漫才で世界を平和にしようと意気込む元魔王シコロモート様ですが、最初の方のネタはダダスベりです。
それが、現魔王ギムコというツッコミの相方を得てから、お笑いレベルが格段に上がります。
そして迎えたお笑い大会。
漫才もショートコントもモノマネも。
会場に満ちた笑いの空気まで感じるほどに、どれもこれもが面白い!
はたして、元魔王様は世界じゅうを笑顔にできるのか?!
結末を見逃すな!!
これぞ、種族を超えたエンターテインメントだ!
と、元魔王様がしっかりと見せつけてくれちゃいます。
戦闘に関して、圧倒的なまでの力を誇る元魔王。導入から、シリアスに進んでいくもの語り。そして、勇者は倒される。
しかし、それでは終わらない。戦闘が終わった後、勇者が見せられたのは…………。
何と漫才!?
え!? なんで? どうなってるの?
そんな疑問はすぐに解消していきます。
『何故なら、余は魔王じゃからな』
この一言に尽きるでしょう。実際に元魔王さまのコントは秀逸。
しかし、熱い想いはなかなか伝わらない。でも、この魔王様はただ者じゃなかった!
続きは自らの腹筋を鍛えてからどうぞ。
自らの信念に基づく元魔王。
笑いを種に、平和の花をさかせてくれるでしょう。
元魔王に挑んだ勇者達は、その身に一指もふれることすらできず、地に倒れ伏した。
絶望に沈む勇者達の前で、元魔王・シコロモート様は、悠然と告げる。
――これから漫才を始める、と。
……えっ? ちょっと待って。
漫才? 二度見したけど、見間違いじゃなく?
戸惑いを華麗にスルーして始まる漫才。
面白い! 面白いけど……なぜこのタイミングなんですかシコロモート様⁉
という度肝を抜くようなオープニングから始まる物語。
ストーリーも、作中に挿入される漫才やショートコントも、抜群に面白いです!
面白すぎて、読み出したら止められません!
個性的な登場人物が繰り広げる物語の裏には、深い事情も垣間見えて……どんどん話に引きこまれてしまいます。
あなたの腹筋は、シコロモート様達の繰り出す笑いに耐えられるか⁉
ぜひご一読を!