第16話 サナンダ記:夜の追尾
サナンダ記
夜の
閉店まで仕事をした妻との帰り道、4車線ある幹線道路の下り車線の右端を走行する数台の乗用車があった。
店舗から裏道を抜けると、幹線道路に出る。そして、登り方面に向かって右折し、そのまま進行方向右の歩道を歩いていると、私たちの顔面めがけて、車のライトを照射された。閉店まで仕事をした夜、数回に亘って、ほぼ同じ場所で、同じ体験をした。もう偶然とは言えないため、策を講じることにした。
ライトを照射されるその幹線道路には、店に近い場所に、歩道橋がある。今までは、暗くて心許ないと、数年渡った試しがなかった。しかし、人為的な闇と対峙するより、自然な暗さの方がまだましとメアリーは思ったのだ。
エレベーターも付いた大きな歩道橋で、歩道への降り口が3ヵ所もあり、階段も3レーン分、前後左右合わせて6本あるため、そこを渡ることにした。
歩道橋の一番奥の階段を下りて、左側の歩道を歩く晩、真ん中の階段を下りて中央分離帯を公園仕様にした歩道を歩く晩、その日によってランダムにしたら、車のライトの直撃照射から解放された。
こうした行為に及ぶには、仕事のルーティーン情報の一月ごとの事前漏洩と、担当ショップの片付けとレジ金銭の金庫室収納や、広い店内を歩いて従業員通用口を出た時間の把握も必需である。I.N.Oに近い住宅展示場が怪しいことは、大天使ミカエルがすでに伝えていた。潜在意識下で。
I.N.O店内の監視カメラ情報は無線ランで、その住宅展示場内のどこかの家のどこかの部屋のパソコンにモニターが設定されているのだろう。表向きは住宅展示、客を装ったり、監視したり、全く忙しい。以前はここは、高速道路の橋げたと橋げたの細長い草の生える空地だった。メアリーがI.N.Oで働きだして、2年後に出来たものだ。
お金が有り余っていて、
「何としても予算を使い切るのだ」
と、上司になればなるほどそちらの方に四苦八苦しているとしか思えない。こんなバカげたことに使用する以外に頭がないのだろうか。
ケッシュ財団がマグラブというフリーエネルギー装置の作り方を公開しているので、この惑星のために、それを地産地消的に、世界各地の中小の工場に発注し、各世帯に配ったらいい。フリーエネルギーは体の不調も治し、病院は外科的な切り傷などの治療に用いられるようになった。
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『 DOLL'S 』 乙音 メイ @ys-j
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