エピローグ
りんこちゃんが平和にピザを食べていると、スマホが鳴った。
少佐から電話がきていた。
「りんこ殿、萌え神となったのは本当か? ツイッターで流れているのだが」
「デマですわ」
作者としては、この質問にこそ「そうですのー」と言ってほしかったが、りんこちゃんの意識は明瞭だった。ピザのおかげかもしれない。
「よく分かりませんが、みんな帰っていきましたわ」
「うむ、良かった。ついでに萌え神になるといい」
「私はシステム開発者ですの。自分から表に出ようとは思いませんわ」
凛とした口調だ。固い決意の表れなのだろう。
「了解。これからも健闘を祈る」
少佐は納得したようだ。電話を切る。
しかし、納得していない者もいた。
「じゃっしーん!! りんこりんこそ萌えなのだー!!」
天井から間の抜けた声が聞こえた。
次の瞬間、轟音が鳴り響いた。見上げれば、天井に徐々にヒビが入っていた。
「な、何事ですの……?」
りんこちゃんが事態を把握するより先に、天井が崩れ落ち、巨大な穴があいた。ピザを食べている場合ではない。
穴からヘドロを思わせるような腐臭を放つ物体が落ちてきた。形の定まらない液体状の物体で、黒々としている。
そいつこそ、邪神ミチル。可愛いのかの字も、萌えも感じさせない存在だ。
「じゃっしーん!! りんこりんはシステム開発者兼萌え神となるのだー!!」
書き忘れていたが、邪神ミチルの声はボイスチェンジャーを使ったかのような、とても低い声だ。戦慄を感じさせる。
りんこちゃんは鼻をつまみながら応じる。
「私はシステム開発者で充分ですわ」
「ダメなのだー!! 許さないのだー!!」
邪神ミチルは辺りに黒い液体と腐臭をぶちまける。
このままではピザの香りが台無しである。
なんとかしないと。
りんこちゃんがそう考えた時に、邪神ミチルは図々しくもピザに触手を伸ばして吸収していた。
「美味いのだー、今日は満足なのだー」
「ああああ私の楽しみをををを」
「欲しくなったら、また注文するのだ♪ さらばなのだー!!」
そう言って、何をしたかったのかよく分からない邪神ミチルは穴の空いた天井から飛び去った。
「せめて補修をしていってくださいまし!」
りんこちゃんの叫びが届いたのか。
一枚の紙切れがひらひらと落ちてきた。
レッ◯ブル。仕事を授けるー♪
顔を引きつらせながら裏返すと、こう書かれていた。
冬企画の投稿室をデコレーションするのだー♪ 給料は邪神の笑顔!
「簡単に言わないでくださいまし! 天井の補修をどうするか聞きたかったのに」
りんこちゃんはため息を吐いた。邪神ミチルには何を言っても仕方ない。
風通しの良い天井の元で、企画投稿室のプログラムを組みながら、修理屋を手配するのだった。
※補足:修理費はりんこちゃんを萌え神を崇める連中が寄付してくれたよ。たぶん少佐が集めたのかな? やったね☆
邪神企画運営萌キャラ化計画 今晩葉ミチル @konmitiru123
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