夏空の此岸
21C
第1話
気がつくと夜汽車に揺られていた。
自分はなぜここにいるのだろう、と窓の外に広がる無数の星々を眺めてみたがよくわからない。
手元にあるペットボトルのお茶が半分ほど残っているのに気づき、飲み干す。
段々とクリアになっていく頭の中で、ある1つのことを思い出した。
「ああ、仕事…辞めたんだった。」
特に珍しい話ではなかった。
どこにでもある人間関係のトラブルの行き着いた先が今の自分だった。
自業自得でしかないのだが、次の仕事を決める前に三行半を叩きつけてしまったので一度実家に帰ることにした。
この旅は言うなれば帰路だ。
人生に疲れた人間がとる一時の休息。
そう思えば足取りは軽い。
時計を見遣ると、針は2時を示していた。
駅までは未だ遠く、夜の帳は深い。
もう一眠りしよう。
目の覚める頃には新しい朝がくるだろう。
季節は夏、8月の初旬。
忘れられない、忘れてはいけない出会いが待っていることを私はまだ知らない。
夏空の此岸 21C @21century
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