この物語で幼稚園の奥深さを知りました

「事件あるところに探偵あり」とはよく言ったもので、この世で一番事件が起きやすい空間である幼稚園に探偵がいないはずがない。

1日に何件も事件が起こる恐ろしい空間で、どんな事件でも真摯かつスマートに解決する榊崎玲子は間違いなく名探偵(※ただし幼稚園生レベル)だ。
数々の事件(※ただし幼稚園生レベル)を解決出来る彼女には、確実に裏打ちされた知識と経験が備わっている(※ただし幼稚園生レベル)。

事件と彼女を取り囲む登場人物たちは、個性豊かかつ感情豊かに物語を彩る。ここに幼稚園生だからこその自然かつ大きな振り幅が存分に生かされ、ともすれば下に見てしまう幼稚園という舞台に、我々の想像以上の奥深さが生み出されている。

その可能性をいち早く見出だし表現した著者のかぎろ氏の慧眼には驚きを禁じ得ない。

皆様には、同氏が描いた「ドッタンバッタン大学ドゥルルルエンジョイヒィーヤ学部チョモランマタンタラタッタン学科」(※幼稚園生レベルの記憶力)も併せて読んでいただきたいと切に願う。