僕は

黒宮 圭

僕は

 僕は、自分を好きだと言ってくれる女の子が嫌いだ。

本人にとっては何気ない一言なのかもしれない。でも、その言葉の鎖は僕に絡みつき苦しめる。

一度好きと言われたら、その人のことを嫌でも意識してしまう。そして、多くの勘違いをする。その勘違いによる僕の思いは、相手からしたら嫌なものだろう。それでも、もう一度その言葉を聞きたくて踏み込んでしまう。それが自分の首をさらに締めるとも知らずに。

だから、好きという言葉を簡単に使ってほしくない。期待させるくらいなら、いっそのこと嫌ってくれている方がましだ。頼むから、僕の気持ちを弄ぶのはやめてくれ。頼むから、僕の心に入ってこないでくれ。同じ結末はもうたくさんだ。

「私は、あなたのことが好きだよ」

 やめてくれ。

「あなたが自分のことが嫌いでも」

 やめろよ。

「私は……好きだよ」

 やめろって!

 そんな言葉はもう聞きたくない!お前もそう言っておきながら僕から離れていくんだろ!だったら最初から近付くな!僕の心をかき乱すな!

「……」

この僕の気持ちがわかるか?そう言ってきた奴に、こっちが好意を向ければ拒絶される僕の気持ちが!だから僕は嘘をついて生きてきた!好きな人に好きと言わないで自分を守ってきた!踏み込めば傷つくのは僕だからだよ!傷つくぐらいなら、僕は孤独でいい!だから、僕に近寄るな!

「一人が好きな人はいる。でも、独りが好きな人なんていないよ」

 ……なんなんだよ。なんでそこまで。

「言ったでしょ?あなたのことが好きだから」

 ……やっぱり、僕は自分を好きだと言ってくれる女の子は嫌いだ。

「うん」

 お前みたいなやつが一番たちが悪い。

「うん」

 ……でも、どうやらその言葉の鎖は僕を逃がしてくれないらしい。

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僕は 黒宮 圭 @kuromiyakei0215

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