#023 バックアップについて②
今回は作業データのバックアップについてのお話、その2です。
まず、バックアップとは……データを複製し、有事の際にデータの喪失を防ぐ行為です。つまり、データをコピーしておくわけで、例えば『クラウドにデータを保管している』や『テキストソフトの自動保存機能を使っている』あるいは『信頼性の高いPCやHDDを使っている』などはバックアップに含まれません。
また、バックアップを考えるうえで『信頼性』を重視しがちですが、実際には最低限で充分であり、重要なのは『気軽に使えるか』と『使いこなせるか』の2点です。バックアップは一応やっているけど、復旧方法は知らない。三日坊主に終わった。なんてことの無いように。
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・データの区分け
まず、大きく分けてPC内で取り扱うデータは3種類に分類できます。
①、システムデータ
最初に設定したらほとんど変更しない、OSやインストールしたソフトなどのデータ。バックアップは必須だが、頻繁に行う必要がなく、月単位で放置しておける。
②、稼働データ
編集中の作業データや、頻繁に閲覧する機会のあるデータ。面倒なので省きがちだが、こまめに毎日やるべき。その際、何よりも『気軽に続けられる』点を重視したい。
③、保管データ
編集が終わり、念のために保管しておくものの、基本的には使わないデータ。バックアップもそうだが、PC内に留めておいても無駄なので、外部記憶装置に転送し、PC内のデータは削除しておきたい。その際、更にそのバックアップをとるかは悩ましいところ。
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・バックアップの種類について
種類としてはザックリ分けて5つ。
①、手動の複製 (稼働・保管データ向け)
USBメモリーなどに作業データを手動で複製しておく方法。非常に分かりやすく安価。欠点は、動画編集など大容量のデータには不向きな点。
②、自動複製 (システム・稼働データ向け)
バックアップ用のソフトを使い、設定に合わせて自動で保存する。設定さえしてしまえば簡単にバックアップが出来る。欠点は、やった気になれるが、実際には意味が理解できていない、復旧方法は知らない、なんて事が起こりえる。
③、クローン化 (システム・保管データ向け)
有無を言わさずPC内の情報を全て、別のHDDなどに複製してしまう方式。壊れても復旧が容易な反面、初期投資や必要な知識のハードルはそれなり。でも、出来るならやる価値はある。
④、復旧イメージ作成 (システムデータ向け)
昔はよく使われたが、最近はHDDなどが安価で大容量になったので、わざわざ圧縮する意味がない。一応、クローン化の下位互換的なポジション。
⑤、クラウドへの保管 (稼働データ向け)
クラウドや投稿サイトなど、Web上にもデータを保管しておく方法。細かい作業データなどの保管には便利だが、大容量のデータには向かない。
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・バックアップをとるための媒体
具体的に"何に"バックアップを移すのか。
①、SDカード (稼働データ向け)
容量や転送速度には問題が大きいが、持ち運びしやすく、調達も容易。テキストデータなら支障はないが、他は難しい。
②、USBメモリー(システム・稼働データ向け)
転送速度やテラ級のデータの取り扱いには難があるものの、SDカードに近い感覚で使える。SDカードに比べれば転送速度は早いので、新たに買うならUSBメモリーがオススメ。
③、外付けドライブ(システム・稼働・保管データ向け)
メモリーに比べれば金銭的な敷居は少し上がるものの、それでも数千円でテラ級のデータが保管できる。しかも性能は非常に高く、コスパもいい。多少余裕があるなら持っていて損はない。また、内蔵用のHDDやSSDを外付け化するキットもあるので、あると更にデータ復旧がはかどる。
④、内蔵ドライブの追加(システム・稼働データ向け)
知識やPCの拡張性も影響するが、PC内に保存場所を増設するのは便利。ものにもよるが、その転送速度は凄まじく、下手をしたら100倍もの速度差が出てしまうケースもあるほど。
⑤、クラウド (稼働データ向け)
運営元によって使用感は大きく異なるものの、テキストなどの小さなデータを取り扱うなら非常に便利。しかし、融通が利かない部分もあるので過信は禁物。セキュリティーの観点からも問題があるので、私は現在使用を取りやめました。
(トラブル例)
親のPCを頼まれて自作した。その際に、設定にあたって自分のアカウントで一時的にログインし、そのあとログアウトした。しかし、ログアウト時に自動共有されたデータがPC内に残っており、アクセス可能の状態が継続していた。更には、ログアウトしているにもかかわらず幾つかの自動共有データが、非ログイン状態にもかかわらず同一人物のPCと認識され、勝手に共有されてしまった。
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・便利アイテムについて
バックアップをする上で、あると便利な物。
①、USB関係の記憶装置
基本ですが、SDカードやUSBメモリーは便利です。価格も安価なので持っておいて損はないです。ただし、破損することもあるので過信は禁物。しかし、過剰反応する必要はありません。バックアップが壊れても、メインが生きていれば問題なし。逆にダメなのが、間違ったデータでバックアップを上書き保存して共倒れになるパターンです。
②、バックアップソフト
有料ソフトもありますが、基本的には無料でいけます。ただし、機能面は癖があるので導入の敷居は高いです。オススメは、無理に1つのソフトでアレコレ欲張らず、単機能の無料ソフトを、それぞれの用途に合わせて複数使い分ける方法ですね。
③、内蔵ドライブの外付け化ユニット
内蔵用のHDDやSSDをUSBで接続できるようにしてくれるアイテム。しかも1~2千円と意外と安く、設定も不要。データの復旧やパーツの再利用にも使えるので大容量のデータを扱うなら、持っておいて損はないです。
④、クローン製作ユニット
PC無しでHDD内の全データを丸ごと複製できる。基本的には外付け化ユニットの追加機能としてついている。便利ではあるが、扱いに難があって素人にはあまりオススメできない。
クローンを作るなら、オススメはソフトによる制作。再起動など手間はかかりますが、無料ソフトで出来るうえに、エラーもある程度検出できる。私は1度、壊れかけのHDDを機械で丸ごとコピーして両方のデータを破損した経験があります。
⑤、NAS
LAN経由で接続する外付けドライブ。転送速度はLAN環境依存になるものの、設定すれば疑似的な内蔵ドライブを複数の端末で共有できる便利アイテム。導入のハードルが高い上に、簡易版でも1万円以上の投資が必要になる。PCを使い分けている人向け。
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・おすすめプランと費用
①、USBメモリー万能説コース (3千円前後)
3千円ほど出して大容量のUSBメモリーを購入して、そこになんでも突っ込んでいく方法。転送速度は遅いですが、そこは割り切ってしまってOKです。壊れても新しく買い替えればいいので、コスパ重視で。私も、サブPCのバックアップはUSBメモリーに任せています。
②、コスパ最強コース(1万円)
2千円弱の外付け化ユニットと、8千円強の内蔵用3.5インチHDD(4T)を組み合わせる。容量に余裕があるので、上書きではなく日付ごとに分類できる。しかも接続はUSB接続だから、USBメモリー感覚でつかえる。動画編集をする人はこのコース確定。ただし、持ち運びは不可。
③、爆速コース(8千円)
6千円の内蔵SSD(500G)と2千円の外付け化ユニットの組み合わせ。HDDと違って別電源不要で持ち運びもできる。
④、神速コース(1万4千円)
外付け化ユニットと内蔵SSDを2つ買い、1つをPC内に取り付け、残りをUSB経由で接続。普段はPC内のSSDで作業して、ソフトで任意のタイミングで外付けのSSDにバックアップ。問題が発生したら、外付けしていた方を内部に繋ぎなおせば、そのまま完全復旧できます。
2つのSSDを内部に繋いで同時複製する方法もありますが、その方法だと誤操作によるデータの削除などの復旧は出来ないので非推奨です。
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・まとめ
因みに私は、NASも含めて様々な方法を使い分けています。半分趣味でやっているだけなので、マネする必要はないです。あと、USBメモリーも便利なのでちゃんと使っていますよ。
最近は、扱うデータが軽いことと、国産の安価なSSDが出てきたので……HDDは廃止して、SSDやM.2に移行しています。まぁ、安くなったとはいえ、数をそろえるのは金銭的に厳しいので、のんびり無理なく移行作業をすすめています。
ともあれ、金銭的なハードルもそうですが、やはり大きいのは知識面のハードル。有料のバックアップソフトも使っていますが、最近は単機能の無料ソフトも便利で愛用していますね。
コスパに関しては、やはりHDDが最強ですが、個人的にはSSDをオススメします。ポイントは2つあり……1つは、500GBが6千円台、250GBなら4千円と、内蔵式なら充分なコスパが見込めます。2つめの理由は、USBの電力のみで動く省電力性。外付け化は『接続方式をUSBに変換するコネクター』1つでいけるのが非常に便利。ついでに言えば無音動作です。
でも、複数のPCやタブレットとの連動を考えると、クラウドやNASが欲しくなります。USBを抜き差しすれば済む話なのは、まぁその通りなんですけど。因みに、この記事は……サブPCからNASにアクセスして、NAS内のデータを『サブPC内のデータ』のように扱いながら作業しています。編集ソフトも、NAS内にあります。クラウドではこういった操作は出来ないですね。そこにかけた費用は3万なので、コスパは死んでいますけど。
また、具体的な商品やソフトは紹介できませんが、調べればすぐに出てきますし、家電量販店では怪しいですが、PCショップや通販なら普通に手に入るものばかりです。興味のある方は、調べるか、ツイッターなどで個人的に聞いてもらえれば可能な限りお答えします。
そんなわけで、いかがだったでしょうか? 結局、予算と知識しだいなんですけど、何かの参考になれば幸いです。
yukiさんのチラシの裏 行記(yuki) @ashe2083
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