第30話
「——熒、大丈夫か? もう始まるぞ」
磐座の声が響く。熒は記憶を振り払うかのように頭を振った。
「大丈夫なのです」
「おーけー、作戦はどうする?」
「というかルールは前と変わらないのですか?」
「あーそれもわからん」
長野の声が響く。
「今回はジェネラル戦なのでリーダーを倒せば勝ちだ」
「全員倒さなくて良いの?」
「うん。今回で言うと、実村を倒せば勝ち」
「なるほど、うちらのリーダーは?」
「……ええと」
「おーけー。じゃあ熒な」
「ええ? 私なのですか!?」
「いいだろ? 死ぬなよ」
——死ぬなよ。その言葉が妙に胸に刺さった。
「で、作戦はどうする?」
「長野さん考えてくださいよ。何か因縁があるんですよね、しらないけど」
「ええ、俺が?」
「いや、仕事しろよ。お前何もしてないじゃん」
「いやいや、ここで俺が敵と味方の両方の役割担ったらおかしくなっちゃうから」
「メタ禁止」
「じゃあ早水さんに任せるよ。いつも冷静だし、向いてると思う」
「ああ、それでもいいよ。咲月、作戦」
しばらくの沈黙があった。
「わかりました。では防御力に秀でた花子の機体だけを」
「ちょっと待った!」
***
新谷「その前にさ、相手の作戦、事前に決めておいてもらえないか?」
藍田「どういうこと?」
新谷「いや、ちょっとメタになっちゃうけど、こっちが決めてから、相手の作戦決められるわけだろ? それだと何か不公平じゃん」
早水「なるほど。事前に確定させておいた方が公平感はありますね。シナリオにはそれは書いてあるんですか?」
藍田「具体的なことは書いてない」
秌山「じゃあ、紙にでも書いておいてくれ。どうせ新谷は負けたら文句付けるだろうから、その時にそれを見せればいいんだ」
早水「保険ですね」
藍田「わかった。書いておくよ」
新谷「おーけー。ありがとな。じゃあ進めようか」
***
早水は言葉を続ける。
「花子の機体だけをスタート地点に残して、他は三機で行動します」
冷徹な声が響く。
「ん? それってどういうこと?」
「要するに
「なるほど」
「籠城とゲリラ戦はこのゲームではちょっと思いつきませんので、結論から言うと奇襲戦しかないわけです。相手のリーダーを倒す。その一点のみにおいて勝機があります。俗に言う
「理解したぜ。でも桶狭間っていまは奇襲戦じゃなくて遭遇戦だったって説が強いらしいぜ」
「だから俗に言うって言いました。うるさいですね。切りますよ?」
「いやいや。お前そんなキレなくてもいいだろ」
「私一人残るのはー?」
「
「なるほど。全員で動いたら敵に狙いを気づかれて固まられるかも知れないもんね」
「がんばれよ、捨て
「なにそれ、うれしくない」
「でもさ、敵のリーダーってどこにいるの? それわかんないと奇襲できなくない?」
「それは多分想像つきますよ。中盤から後方です」
「なんで?」
「万が一にも負けられませんから、リーダーはやられない位置に陣取るはずです。余は常に諸子の先頭にありってタイプじゃないでしょう?」
「ま、それはそうだな。じゃあ私達は三人で行動して、花子が粘っている間に敵のリーダーを見つけて叩けばいいわけだ」
「まあざっくりそんなところです」
「おーけー、みんなわかったか?」
「私は理解している」
「なのです」
「だいじょぶー」
「長野さんは?」
「俺? 俺は、まあ大丈夫だよ」
「よし、いいぜ。スタートしてくれ」
ホーンの音が響き、戦闘が開始された。
大創作戦争 @iotas
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。大創作戦争の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます