恋は叶わないんじゃなくて、叶えるものだ。

柚雨。

第1話

初めて好きになったのは、幼稚園の先生(男)。あんまりいないから珍しさと、遊んでくれる楽しさからだろうと思っていた。


中学に入って、彼女はいたけど、本当に好きではなかった。告白されたし、友達と盛り上がれるからという理由で付き合っていた。三ヶ月くらいでフラれたけど、あまり途絶えることは無かった。


高校に入って好きになったのは、新任の先生(男)。綺麗な顔立ちに、大きなメガネ。アンバランスさが好きだった。でも、俺が卒業する頃に結婚したらしい。


大学に入って、自分の恋は叶わないものだと知り、来る者拒まず去るもの追わず精神で色んな女と付き合った。やることもやった。でも好きじゃなかったし、好きにはなれなかった。やるのも、正直気持ちいいと思えなかった。ただの生理現象。そう思いながらやっていた。

満たされないこの気持ち。

人生つまらない。

そう思っていた。

同じ学科の女とほとんど付き合ったのでは?って頃に卒業した。


余談だが、女子達になんで自分なのかと聞くと、


「顔がいいから。」


と言われた。

ただそれだけ。

それだけで女は人を好きになるのか。謎だな。


卒業して、大手企業に就職した。職は安定していて、ヘタをしない限り、クビにはならないといわれた。あと社長に、


「お前顔がいいから営業な!!!!!!!」


と言われ、営業課に配属された。

顔がいい自覚はない。でも、俺が入ってから一気に業績はのびた。らしい。

恋が叶わずつまらないから、せめて仕事は楽しんで頑張ろうと思っていたら、そうなった。

その頃から、来るもの拒み去るもの追わず精神になった。

しばらく仕事に集中したかったし、流石に社会人になって女をとっかえひっかえはまずいかなと思ったから。

そうしたら、幾分か気が楽になった。独り身は楽。一生独身を貫こうと思った。


気がつけば、50歳になっていて、おじさんになっていた。

たくさん新入社員も入ったし、たくさんの部下もできた。

何回も結婚式に呼ばれたし、何組ものカップルも見てきた。

みんな幸せそうだった。自分も幸せになれた。もうおじさんは相手にされないだろうな。そう思っていたのに。


「俺、課長のことが好きです。あ、もちろん、性対象として。」


この前新卒で入ってきたばかりのイケメン新入社員君に告白された。

あぁ、こんなおじさんにも、恋をしてくれるんだ。

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恋は叶わないんじゃなくて、叶えるものだ。 柚雨。 @yuu_1527

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