絶対にビビッてはいけない勝負!!

あさかん

👧{……あのね)


 これは私と私のカレが笑ったら駄目なテレビ番組を一緒に仲良く見ていた時のお話。



「ねぇねぇ、私たちも何かやってみない?」


「んっ?笑ったら負けな感じで?」


「えーと……今は真夏だし、ビビったら負けな感じはどう?」


「おっ、良いな!でもぶっちゃけ俺、そういうの強いぜ?怪談話とかでもビビったことねえしっ」


 基本強がりなカレはもう勝った気でいるらしい。



「じゃあ、どっちが先攻でいく?」


「んなの、お前からでいいぜ!ハンデだよハンデ」


 基本強がりなカレは勝負ごとになると必ず私に先攻を譲ってくれる。



「じゃあ、いくね」


「おうよっ、バッチ来い!」



「……あのね」


「実はね私、ずっと言うタイミングが無かったんだけど……」


「実は……私……」










「デキちゃったみたいなの」









「…………」









「マジかー!マジかー!やったな!やったぜっ!マジで嬉しいっ!いやっほぅーーー」


 ボギャブラリーの少ないカレが一生懸命喜びの言葉を発し、手振り身振りを大きく使ってこれでもかと嬉しさを表現してくれた。


「うんっ、うんっ!!」


 ずっと私に授からなかった新たな命、半ば諦めようとしていた節もあった。


 ふたりとも薄っすら涙を浮かべながら、盛大に喜んで、思いっきり抱き着いた。


「あっ、すまんっ!こんなに強く抱きしめたらお腹の子が驚いちまうなっ」


「馬鹿ね、大丈夫よ。これくらいのことでこの子がビビったりするもんですか」


 カレは心持ち抱きしめる力を緩めたが、それでも足から腕から全身で密着している私たち。


 この時、ちょうどカレの耳が私の口元にあったので小さく呟いてみた。




「でもね、ごめん……アナタの子ではないの」












「―――え゛っ」



 カレシ、アウト―👍

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