私小説

女幽霊

夏場と言えども夜は冷えますなぁお嬢さんや。

うちは飼い猫が逃げて家族皆てんやわんやで私は外へ駆り出された訳なんです。

はてこんな時間にお嬢さん一人ですかな？お付きの人はおらんので？

いえ乙女に詮索なんて野暮ですね。こっちは気づけば一緒に駆り出された兄や伯父とはぐれ周囲も暗く、この年になって迷子なんです、私。ちょいと話し相手に付き合っちゃくれませんか？いえなにぶん美人なお方で。なんぱというやつです。

緑色の目が綺麗でいらっしゃる。もしよければお家まで送りましょうか？　うふふ。