第1話への応援コメント
お邪魔します(^^)/
緻密で小規模ながら、実に感慨深い1ページ目でした。主人公と父親と客。想像がつくのは、三人のいる玄関口くらいのもの。その狭さが逆に、空間性も物語っていて、ストーリーの重厚さに貢献しています。
史実の絡むお話ではありますが、想像に任される余地がきちんとあり、写実的にもアニメ的にも空想できますね(次ページに続く)。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
絵の具の描写をこだわったので、結果的に三人がやりとりした場所は語っていませんでしたね。ストーリーの重厚さは偶然の成功かも (^▽^;)
現代ファンタジーとして書く上で、史実と虚構の折り合いはかなり意識しましたね。関東大震災から太平洋戦争勃発までの年を何度も確認し、主要人物の年齢に違和がないよう調節しました。情景が想像しやすくなっていれば嬉しいです。
第3話への応援コメント
戦争の時代。そこには色がないように思われましたが、時代を経るごとに色が溢れて来ると、人々は色に執着しなくなったような感じが、お話を読んでいて思いました。どの色も同じだと思ってしまうと、色があってもないことと同じなのかもしれませんね。また絵の具が誰の手にでも渡るようになったことは、色彩豊かになったのかもしれませんが、丁寧に色を生み出していた時のように、ひとつひとつの色を愛おしむような感覚はなくなっていったのかもしれないと思いました。
おじさんや「僕」が作ってきた色は、それを作った時の「一瞬」を閉じ込めたもので、きっと二度と同じ色は生み出すことができないのでしょう。だからこそ、生きた色、力のある色だったのかな、と思いました。それが「最後に作った絵の具は、旅先でスケッチをしていた青年画家に売った」という部分が物語っていると思います。
また色を生み出すということは、触れることができない色を、「その手に取る」ということなのかもしれないな、とも思いました。
1つだけ、他の方も仰っていましたが、トランクを持って訪ねて来た男を「客」で表現されたところが、読んでいた際に、訪ねて来た男のことなのか、「僕」の父親のことなのか迷いました。
しかし全体として丁寧な言葉で紡がれており、言葉選びの良さを感じます。
感想が長くなってしまい、すみません。何度も読ませて頂きましたが、感慨深いお話でした。
作者からの返信
戦争、特に太平洋戦争の歴史は振り返りづらい重さがあります。残されたモノクロ写真を見る度、目を背けずに日々のありがたさについて考えるためにはどうすればいいものか考えてきました。そんなある日、思い浮かんだ古ぼけたトランクのイメージから本作が生まれました。
色について、そのように感じていただけて幸せです。書きたいものが伝わっていることがよく分かりました。
父の死については、戦死者のリストの中に記載されていた名前でさらりと触れた程度だったので分かりにくくなったかもしれません。改めて名称の使い所について考えさせられる、良い機会になりました。
感想は全然長くないですよ。むしろ何度も読んでいただいたことが文面に表れているので、読んでから胸がじんわりと温かくなりました。
Yuriさまの中で色に対するイメージが膨らみますように。
第3話への応援コメント
「色を待っている人、色を待っている時代に、その色を届けて欲しい」という願いに象徴されるものは何なのだろう、と深く考えさせられました。社会派的な解釈すれば、現在世界において「今は価値を失いそうになっているが、それでも未来で待っている人々に伝えなければならない色」は、「寛容」をイメージさせる色かなあ、なんて思ったりします。さしずめ、食卓を照らす灯りのような色でしょうか…。
作者からの返信
戦争の記憶が風化する時代を見据え、客は「僕」に生命力や人の温かさを感じさせる色の大切さをそれとなく説いたのかもしれませんね。弦巻耀さまの解釈によって、客が願った色がより鮮やかなものになった気がします。素敵なコメントありがとうございました。
第3話への応援コメント
背景がモネの絵画タッチで見えてくる。
けど、昭和の家屋の薄明るさや、磨き抜かれた戸板や廊下が見えてくる。
場面場面で印象が違う三作でした。
主人公がお年を召したのでそう感じたのでしょうか。
宮崎駿監督の「風吹きぬ」のような感触もややありました。
時代を切り抜くのがお上手だなと感じました。
第3話への応援コメント
企画より参りました。
良い作品だと思います。
描写、会話共に見ていて飽きず、されど長すぎない丁度良いものだと思います。
気になったのですが、トランクの絵の具を売っていた人を一話で“客”と呼称していますが、“商人”もしくは“絵の具売り”ではダメなのでしょうか?
文面的にお父さんに呼ばれてきた感じではなかったので、ならば客という表現は少し変ではないかと。家に絵の具をうりにきたのですから、商人か絵の具売りのほうが良いのではないでしょうか?
参考ほどに……
作者からの返信
鋭い指摘ありがとうございます!
客を商人や絵の具売りと呼称しなかった理由は二点あります。
一つ目は商売のイメージを強調するべきではないと考慮したことです。
なぜなら、彼は利益よりもプライドを優先させる人物だからです。気ままに各地をめぐり、得意先であっても頻繁に訪れようとしない様子をそれとなく綴ったつもりです。たとえば、絵の具を必要とするパトロン(どこぞの富豪)がトランクを買い上げようとした事実です。
二つ目は「僕」にとって特別な存在だと印象付けようとしたことです。
足を理由に閉じこもる十四歳の「僕」が、自分の世界に入り込む男性を好意的に迎え入れられた点。加えて、長年取引する父でさえ絵の具一本しか買えない値段設定をするほど色への想いが人一倍強い人柄から、商人と一括りにできない魅力を客という曖昧な呼称に託しました。
もちろん、客の呼称でなければならない絶対的な理由が存在する訳ではないので、武藤さまの読みもありだと考えています。また、作品を読み返す良いきっかけになり、嬉しい応援コメントととらえています。貴重な意見、本当にありがとうございました!
編集済
第3話への応援コメント
良作ですね、思わず感情が揺さぶられました。
言葉一つ一つが心に突き刺さりました。
「生きがいを持って進むための糧にしろ」――少年の父親が、少年に言った台詞、泣きそうになりました!
作者からの返信
良作と断言された嬉しさのあまり、返信に何を書くべきか長らく悩んでいました。梨の礫になってしまい、すみません。
「生きがいを持って進むための糧にしろ」の台詞は親子愛を感じさせるものになるよう、何度も練り直しました。印象深い言葉になって良かったです。
コメントやレビュー文だけではなく、「皆様に薦めたい作品―自主企画用」第一話に取り上げていただき、ありがとうございました。作品の魅力が強く伝わる推薦文になっていて感無量です。他の二作も面白く、読書の幅が広がるいいきっかけになりました。
鴉さまの今後の発掘に期待しています。
第3話への応援コメント
終局。終末。結末。いろんな言い方があると思いますが、ここまで人命、人の生き死にを大切に扱いつつ、大きすぎない脱力感を与えて終わるところは、感動的であり、また、感慨深いものです。それでありながら、何かのメッセージを強引に押し付けるきらいが全くなく、さっぱりとした、切ない読後感を味わえます。
大変深みのある読書時間を、ありがとうございました<(_ _)>
作者からの返信
悲しみだけで終わらないラストになるよう、「僕」とトランクの関係性を大切に描きました。生と死、そして今まで出会ったオリジナルの色たち、どの要素も心を込めて書きました。さっぱりとした、切ない読後感と評していただけて嬉しいです。
ちなみに、私にとって自信のある本作ですが、大学で創作論を指導してもらった先生曰く「五十倍の分量になる筈」とのこと。児童文学作家の見立てでは、長編にする価値があるそうなのです。
岩井さまから大変深みのある読書時間と言っていただけて光栄ですが、「まだだ!まだ終わらんよ!」の台詞のように己を鼓舞して精進します!